相手と会話をしている時に相手の考えていることが自分と真逆だったときに
「違うそうじゃない」とうっかり言ってしまい、会話していた相手との仲がこじれてしまうことがASD傾向がある方は多くあるようです。
私は声優という職業を選んだのですが、どうやら声優はコミュニケーション能力が最も重要な能力だったみたいです。
一番苦手なコミュニケーション能力が必要なことに気づいたのは、声優の勉強を始めた後でした。
声優事務所にやっとこさ入れたものの、コミュニケーション能力が低すぎて、
いつも違和感を感じてしまう毎日でした。
最近やっと自分のコミュニケーション能力の低さが、
ASD傾向があることによるものだと分かり、
今さらながらコミュニケーション能力を高めてみようと思いました。
私なりに考えた結果、相手に「共感」することがコミュニケーション能力を上げる方法だと行き当たったので、今回の記事を書くことにしました。
-
- コミュニケーション能力を上げたい方
-
- 相手の気持ちに「共感」しにくい方
-
- 声優になりたい方
-
- ASDだと言われたことがある方
こういった方々の参考になれば幸いです。
もくじ
1)相手の気持ちが読み取れない!ASDとは?
まず最初に、ASDとはどんな発達障害なのか分析していきました。ASDとは発達障害の1つで、自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群とも呼ばれます。
【1】ASDはコミュニケーション能力が低い
ASDと診断されたかどうかは別の問題として、ASD傾向がある人は、全体的にコミュニケーション能力が低い傾向があります。
ASDは相手との会話の際に、相手の気持ちが読み取れないという人が多いです。私もその一人で、幼少期からずっと「相手の気持ちを考えなさい」と言われ続けてきました。
でも実際に、相手の気持ちなんてわかるわけがないし、
相手の気持ちを考えるなんてめんどくさいと思っていました。
その結果、コミュニケーション能力はかなり低いと自分で自覚するほどになっていました。
【2】どんな職場でもコミュニケーション能力が必要
コミュニケーション能力は、どんな職場でも大事だと本当の意味で分かったのはつい最近のことです。(情けない)
コミュニケーション能力が低いASD傾向がある人は、
どんな職場でも学校でもなんとなく浮きがち。
コミュニケーション能力が低いために悪くなると、無視されたり、いじめにあったりと、なかなか大変な人生を歩んでいます。
「一人で生きていく」とかっこいいことを言えば、今だけはいいかもしれません。
でも人間として生きていく以上、ずっと一人で生きていくことはきっとできないでしょう。
年をとって、人に頼らなくては生きていけない場面も出てくるし、
コミュニケーション能力が低くて、協調性がないと自分が困ることになります。
【3】ASDは合理的!相手の気持ちが読み取れない
ASD傾向がある人は、考え方が「合理的に」に偏っている人が多いです。
そのため、ASD傾向がある人はIT系の企業や外資系の企業だと比較的うまくいっている人が多いようにも思えます。
コンピューター相手に会話をしていれば、コミュニケーション能力はそんなに必要ありません。
また、海外の人は「個」を大事にする傾向が強いため、自己主張ができるASDだと
コミュニケーション能力の低さがそこまで問題にならないのだと思います。
しかし、多くのASD傾向がある人は、「日本で」「人と関わり合いながら」生きていくしかなかったりもします。
合理的に考えることは悪いことではないと思いますが、
相手の気持ちが読み取れずに、トラブルを起こしてしまうのでは生きにくいということなのです。
2)ASDなら相手に「共感」することを学ぼう
相手の気持ちを考えることは、言葉にすれば簡単なように思えますが、ASD傾向のある人(私も含めて)は、正直めちゃくちゃ難しいです。
いろいろと調べてみたところ、
相手の気持ちを考える=相手の気持ちに「共感」すること
だとひとつの答えが出ました。
ASD傾向がある方は、相手の気持ちに「共感」することが難しいということなのです。
そもそも私は「共感」とはどういうものなのかが全く理解できておらず、40年ほど勘違いし続けていた模様です。
【1】「共感」することは「相手の気持ちに寄り添う」こと?
最初に調べた記事には「共感」することは「相手の気持ちに寄り添う」ことだと書いてありました。
は?
寄り添う?
なんだそれは?意味わからん!
これが「共感」の定義に関する私の感想です。
ASD傾向のある方は「同感!」と思うかもしれませんね。
ASD傾向のある方には「気持ちに寄り添う」なんてあいまいな表現では理解できないのです。
それ以降も「共感」と「同感」の違いや「共感」とはどうやったらできるのかを調べ続けました。
そして「共感」とは「相手の『気持ちに』同意」することだと結論づけることができました。
【2】「共感」と「同感」の違い
「共感」と「同感」の違いはなんでしょうか。
ASD傾向がある方は、「共感」と「同感」を混同してしまっている可能性があります。
-
- 共感とは「相手の『気持ち』を受け止めること」
-
- 同感とは「 相手の『意見』と同じだと言うこと」
相手と違う価値観を持っているのは当然として、ASD傾向のある方は、同感することが難しいわけです。
自分の意見を曲げたくないし、相手が言うことが間違っていると思っているからです。
私はそもそもの「共感」の意味を「同感」と同じ意味だと思っていて、
相手に共感するなんて、ありえない!とかたくなに思っていました。(恥ずかしい・・・)
でも、相手の気持ちを読み取ることは「共感」であって「同感」ではなかったのです。
ASD傾向がある方は「同感」はできないけど、「共感」はしてみてもいいのではないでしょうか。
【3】「共感」でコミュニケーション能力が上がる
ASD傾向がある方は、まず相手との会話において「共感」ができていない可能性が高いです。
- 共感なんてしても時間の無駄!
- 相手の意見に合わせるなんてしたくない!
- さっさと本題に入ってほしい
「共感」についてこう思っているASD傾向のある方は結構多いのかなって思います。
でも、「共感」することのメリットもありますよね。
- 人との会話がスムーズになる
- 人間関係が良くなる
- 会話が楽しくなる(かどうかは人によるとは思いますが)
つまり、相手に「共感」して、人と会話することが上手になれば、
コミュニケーション能力が上がり、人としての評価も上がるということなのです。
3)相手に「共感」する方法
「共感」することが、コミュニケーション能力をあげることにつながるといわれても、
- 相手の気持ちをそもそもわかるわけがない
- 相手の気持ちに寄り添ったところで何も変わらない
そんな考えが邪魔して、だんだん面倒くさくなってしまうこともあるかもしれませんね。
でもそんな考えの私もこれではいけないと思い、
ASD的な考えのもと、合理的に「共感」する方法はないかと行き当たった方法をご紹介します。
最初に言っておきますと、文章でのやり取りでの「共感」はASD傾向のある方には難易度が高いです。
少なくとも私にはそうでした。
だから、難易度別に「共感」する方法をご紹介します。
【難易度レベル低】相手と会って会話するとき
相手と会って会話をするときは顔も見えるし、動作も見えます。相手の言葉の内容だけではなく、他の要素も多いですので、難易度は比較的低いのかなと思います。
②相手の「表情」や「口調」から「感情」を読み取る
③相手の感情に「喜怒哀楽」で返す
この手順で「共感」はできます!
①相手が話す内容や動作から「状況」を把握する
まず相手の話す内容や動作から相手の「状況」を把握します。
例えば、
相手「あー、暑いね外は」
と言ったとします。
この内容から、相手は「外から帰ってきた」という状況がわかります。
そして、夏場で会社とかで、汗だくでドアを開けて入ってきたのなら
相手は「暑い外から帰ってきた」という状況もわかるでしょう。
ここまでは、わりとASD傾向があっても分かる方は多いですね。
これだけで状況を把握するのが難しいなら、質問してみるのも1つの手段です。
自分「外回りですか?」
とかですね。
そうすると相手のおかれた状況がもっと詳しくわかってきます。
②相手の「表情」や「口調」から「感情」を読み取る
そして、同時に「表情」や「口調」から相手の「感情」を読みます。
相手の「ぐったりした表情」とか、「疲れたニュアンスの口調」とかからです。
もしくは「晴れ晴れとした表情」とか、「元気な感じの口調」とかかもしれません。
ここからわかることは、いろんな感情です。
感情は1つではないので、きっといくつもパターンを予測するほうがいいかと思われます。
ぐったりした表情→疲れた、嫌だった、汗だくで気持ち悪いな
元気な感じの口調→よかった~(契約がうまくいったとか)
とかですね。
両方の感情も混ざっているのかもしれません。
③相手の「状況」と「感情」に「喜怒哀楽」で返す
そして、相手のおかれた状況と感情に合わせてそれを言葉にします。
例えば、
暑くて外回りから帰ってきた。営業も上手く行かなくて、ぐったりだー
というときは「大変でしたねー」「疲れましたよねー」とかですね。
元気よく帰ってきた時には、契約がうまくいったということが聞き出せたら
「暑い中大変だったんですね。でも契約がうまくいって、良かったですねー」と言えば、
「大変だった」「でもよかった」という相手の状況と感情に「共感」できるわけです。
対面で相手と会話する時には、相手の状況や気持ちに合わせて、少し言葉を変えて「喜怒哀楽」で返すことで「共感」できます。
【難易度レベル中】相手と電話で会話するとき
次は難易度レベル中の相手と電話で会話するときです。
今度は、電話なので相手の「声」から情報収集しなければなりません。
②相手の話す「口調」から「感情」を読み取る
③相手の状況に「喜怒哀楽」で返す
電話のときも、相手と面と向かって話すときとほぼ同じ方法でOKです。
例えば、コールセンターで問い合わせを受けるときを考えてみましょう。
①相手の話す内容から「状況」を把握する
相手「あのー、スマホが突然電源落ちちゃって・・・」
この相手の話す内容から「スマホの電源が落ちた」という言葉の内容から
問い合わせてきた相手の「状況」がわかります。
②相手の話す「口調」から「感情」を読み取る
同時に「スマホが壊れているかもしれない」と相手が「困っている」ことがわかります。
困っているときに出る言葉としては相手の最後の「・・・・」とかでもわかりますね。
ここで、相手の性格とかもはっきりではないにせよ、少し読み取っておけば後々の言葉選びが楽になります。
「・・・・」は、もしかしたら相手は煮え切らない性格とか、
「私(自分)に困っていることをわかってほしいとか、
「故障かどうかわからないから、故障じゃなかったら申し訳ないなあ」とか
かもしれません。
でも相手の声しか情報はありませんから、感情の部分は推測だけにとどめた方が無難です。
相手「明日仕事で使うので困ってるんです」
と言ってくれる相手ならしめたものです。
③相手の「状況」に「喜怒哀楽」で返す
対面のときと違うのは「声」しか情報源がないために、感情を読み取るための材料が少ないことです。なので「共感」はあくまでも「状況」に対してする方がおすすめです。
もちろん感情がすごーく出ている声のニュアンスならば、
その感情に共感するのもOKですが、感情に共感が難しい方はやめておいた方が無難です。
共感する言葉としては「それはお困りですよね」とか
「お仕事に間に合わせたいんですね」とかですね。
ここでのポイントとしては、仕事での電話の会話の場合には、喜怒哀楽とはいっても大げさに出さないことです。反対に家族や友人の場合には、大きく感情に共感する方が親しみがあっていいと思います。
時と場合、相手との関係性でどのくらい「共感」するのかを調整しましょう。
(これが難しいんですけどね)
【難易度レベル高】相手と文章で会話するとき
最後の難関として、文章での会話のときが最も難易度が高い「共感」です。
仕事で文章しかやりとりができない相手との「共感」はすごく大変です。
②相手の「状況」に自分をおく
③相手の「感情」は推測にとどめる
④相手の「状況」に「共感」する
友人や家族との文章のやりとりは、絵文字とか顔文字があったりすれば、
比較的感情も分かりやすいです。
でも、ビジネスでの文章のやり取りは、文字だけの情報から読み取ることになります。
そのため、あまり相手の「感情」に共感せず「状況」に共感することが一番良い方法かと思います。
①相手の文章から「状況」を把握する
まずは文章から相手の「状況」を把握します。
例えば、
「部活が忙しくて声優になるための練習ができていないのですが、どうすればいいのでしょうか。」
という文章。
これだけだと難し過ぎるので、設定としては自分が質問を受ける側の立場で、相手から上記のような質問がきた場合です。
この文章からわかる相手の状況は
- 相手はおそらく学生
- 部活で声優の練習をする時間がない
ってことです。
対面での場合には、相手の感情が表情や口調からわかりますが、
文章、それも絵文字も顔文字もないので相手の感情まではわかりません。
②相手の「状況」に自分をおく
次に考えることは、相手の「状況」に自分がおかれたときのことを想像します。想像することがASD傾向のある方は難しいので、自分の経験の中から相手の状況にに通ったものを思い出すのがいいですね。
例えば、
- 自分は仕事をしている
- 休日に趣味をやりたいのに時間がない
という「似通った状況」を思い出すのがいいです。
③相手の「感情」は推測にとどめる
ただしこのときに、自分が似通った状況を思い出すと「感情」が前に出てくることが多いので注意!
相手がどんな人間なのか?どんな感情なのかは、文章の中からはわからないからです。
状況を正確に把握するために相手の感情は推測だけにとどめておく方がいいです。
感情を推測するとすれば、
- 練習できなくてイライラする!
- オーディションに合格できるか不安
文章だけの場合は特に「感情」を書き出す人は少ないので、相手の感情部分に共感するのはやめておきましょう。
推測で「共感」すると、最悪「なんなんこの人?私はそんな気持ちないのに・・・」と的外れな共感になってしまいます。
④相手の「状況」に「共感」する
文章での「共感」をする際には、相手の「状況」に「共感」するのみにします。
例えば
- 部活と両立って難しいですよね
とか
- なかなか練習できないと思ってるんですね。
と相手の状況「だけ」に「共感」すればOKなのです。
このように対面で相手と会話するのか、電話で相手と会話するのか、文章で相手と会話するのかで得られる情報が全く違います。
対面で相手と会話する時には、「状況」だけでなく「感情」にも目を向けて「共感」するようにします。
電話で相手と会話する時には、「状況」だけに「共感」することに集中しましょう。
文章での相手との会話も同様です。
【共感とは】相手の「状況」をただ受け取ること
相手の意見に同意しなければいけない「同感」ではなく、相手の状況に合わせて「共感」するなら、自分の意見を曲げる必要もありません。
ASD傾向がある方は「同感」は無理なことが多いですが、きっと「共感」ならできるんじゃないかと思います。
「共感」は相手の状況をただ受け取ればOKってことです。
人によっては、対面での会話の時の方が難しく感じる人もいるでしょう。
それでも、どの場面でも相手の「状況」に「共感」すれば、
相手は嫌な気持ちを持たなくて済みますし、自分自身もスムーズに会話ができるようになると思うのです。
コミュニケーション能力とは「共感」する能力
ここまでにご紹介してきたように「共感」するということは、一般的には相手の気持ちに寄り添うことという小難しい言葉で言われます。
ASD傾向のある方は「寄り添う」という言葉だとあいまいにしか理解することができません。
でも「共感」とは相手の「状況」をただ受け取ることだとやり方がわかりさえすれば、練習することで「共感」はできるようになります。
もちろん今回ここで紹介した言葉の解釈は、私が理解できた言葉なのであって、他のASD傾向のある方には、やっぱりあいまいじゃないか!と思うのかもしれません。
それでも、自分なりに「共感」とはどういうことなのかを繰り返し調べて、
理屈で分かりさえすれば絶対に出来るようになるということなのです。
私もまだまだ修行中です。
ちょっと油断すると「いやそれは違う」とか「私はこう思うよ」と言いそうになります。
でも、これができるようになったASD傾向の方は、コミュニケーション能力が高い!と思われるようになると思うのです。
人はひとりでは生きていけません。少なくとも今の時代は。
だからこそ、相手に「共感」しつつ、コミュニケーション能力を磨いて行った方がいいのではないかと思うのです。