声優になりたい中学生の方々、そのまま声優養成所に入って、華々しい声優デビュー!
なんて考えてませんか?
いやいやいや・・・
声優ってそんな甘い世界じゃないんですよ。
でも中学生から声優デビューしてる人もたくさんいますよね。
今回は、声優に学歴は必要なのかをお届けします!
もくじ
声優に必要なスキル
声優の仕事では、「演技力」が必要だとよく言われます。確かにそうです。
プロの声優で演技力がない人は見かけませんね。声優に必要なスキルを見てみましょう。
【1】台本を読む「国語力」
台本を「読む」ことが声優の仕事です。でもよく誤解されているのは、台本をただ「読む」ことが声優の仕事ではないのです。
ただ綺麗に読むだけなら、学校で国語の教科書を読むのと全く同じです。
①漢字が読めること
国語の教科では、常用漢字を毎年少しずつ教わっています。常用漢字とは、一般的に社会人として読んだり書いたりできるべき漢字のことです。
声優が使う台本でも、当然常用漢字は使われます。声優の現場では、台本が当日に渡されることもあります。その場でスラスラ読めるくらいの漢字を読む力を持っていることは必須です。
②台本を解釈すること
国語のテストでも、長い文章を読んで読解する問題が出ますね。声優が使う台本は、たとえその場で渡されたとしても、一回読んだだけで大体の内容を「解釈」できるくらいのスキルが必要です。
【2】正しいアクセントで発音する「音感」
日本語の発音は、音の高低で表現します。声優は基本的に、標準語で演技をすることを求められます。
日本語の正しいアクセント、イントネーション、プロミネンスを理解する必要があります。
音痴の人にとっては、正しいアクセントでの発音することが難しいことがあります。正しいアクセントかどうかを判別するのは 「音感」が鍛えられているかどうかによります。音楽の授業で音感を鍛えることができるということです。
【3】身体を自由に操る「運動能力」
ただ立って演技をしているように見える声優ですが、絵の中の人物に呼吸まで合わせて演技しています。
例えば全速力で走ってきて、セリフを発するシーンを思い浮かべてみましょう。全速力で走ったわけですから、息が上がりきってしまい、肩が上下しているかもしれません。言葉を発しても、途切れ途切れになっていることが想像できます。
それに合わせて、自分の体をコントロールし、全速力で走ったくらいの体の状態を瞬時に作ることが声優には求められます。なおかつ、セリフが聞き取れないのはNGです。
自分の体を自由自在に操ることができる「運動能力」も必要なスキルなのです。
【4】丈夫な身体「体力」
収録は、通常は朝10時くらいから行われることが多いですが、何時間もかかることもあります。中には、終電の時間が過ぎてしまうくらいまで収録することもあります。その長時間の仕事に耐えられるだけの「体力」も必要です。
また体力がないと、風邪にもかかりやすくなります。風邪をひいて鼻声のまま収録現場に向かうわけにはいきません。風邪をひかない丈夫な体を持っておくのも重要なのです。
【5】人との関わり「コミュニケーション能力」
コミュニケーション能力が声優にとって必要なスキルだということを気づいたのは、私もかなり後になってからです。声優事務所に所属して、なかなか仕事がもらえなかった時にやっと気付きました。
声優の収録現場では、共演者やスタッフさん、ディレクターさんなど、「みんなで」一つの作品を作り上げていきます。特に新人声優の場合、名前を覚えてもらったり、いい演技で印象付けたりすることが次の仕事につながっていきます。
【6】人生経験からの「表現力」
声優は役者なので、一生演技の勉強をし続ける必要があります。例えば街を歩いていて、おばあちゃんがどんな喋り方をしているのか、おじさんがどんな仕草をしているのかなど人間観察をすることも重要です。
「表現力」は、長い人生の中で積み重ねていくことによって成長していくスキルなので、2、3年声優養成所で勉強をしたからといってすぐに身に付くものではありません。普段から意識しながら日常生活を送ることも必要なのです。
声優に必要なのは学歴よりも「学力」
声優に必要なスキルは先ほどご紹介したとおりですが、最初のテーマ「声優に学歴は必要か?」についての答えは、「必要ない」となります。しかし、ここまでご紹介してきたスキルを見てみると、「学力」は必要であることがわかりますよね。
【1】ほとんど学校でまかなえる
紹介した必要なスキルを見てみると、学校の授業で言うと国語、音楽、体育など声優に直結するものもあります。また、理科、社会や英語、家庭科など声優としての「表現力」を鍛えるための教科もあります。
ほとんどの声優としての基礎を学校で学ぶことができるようになっているのです。アニメに出てくる主人公だって、学校に通っていたりもしますよね。絵で書かれたものを、実際いるような人間として演じていくわけですから、学校に通っておくということは、声優になるためにも役に立つということなのです。
【2】不登校でも自宅で勉強を
もちろん事情があって不登校になってしまう人もいると思います。不登校になってしまうこと自体は、私は否定するつもりはありません。ただ、学校に通わないことで、得ることができないものもあります。
だったら、自宅でできる勉強があるはずですね。声優になるには「学歴」は必要ありません。でも、学力は必要なのでそこを自分で補っていく努力が大切なのです。
声優業界は本当に厳しい
ここまでご紹介した学校での勉強を全て満点で卒業できたからといって声優になれるとは限りません。声優業界は厳しいのは有名ですよね。
【1】声優は甘い業界ではない
毎年声優養成所や声優専門学校に通っている人はおよそ30万人だと言われます。もちろんその中からも脱落者は毎年出て、声優を諦めて行く人も多いのも事実です。
とてつもなく厳しい事を言うと声優業界は
「代わりはいくらでもいる」
業界なのです。 一人が辞めても、正直な話声優事務所に残れる席が空くことになるわけです。そこに残っていくためには、声優としての基礎的なスキルはいくら伸ばしても伸ばしたりないものなのです。
【2】声優になれなかったときは?
声優志望者が30万人いて、そのうち実際に声優になれる人は、毎年1万人くらいです。ということは、残りの29人は声優になれないということです。
声優になれなかった時に、全く学歴がない場合、最悪路頭に迷うこともあり得るということです。声優になりたい人は、最低限高校卒業の資格を持っておくと、声優になれなかった時でも別の道に進むこともできやすくなるのです。
【3】声優になりたいという「逃げ」
高校に行かずに声優になれますかという質問をいただきますが、なれないかなれるかでいえば「なれます」。
でもいつも私が思ってしまうのは、その「声優になりたい」という気持ちは「勉強をしたくない」と言う逃げの気持ちなのではないでしょうか。
本気で声優になりたいのであれば、学力をつけることなんてたやすいことであるはずです。勉強は勉強するだけ実りがあります。もちろん個人差はありますが、時間をかけて勉強すれば、人並みくらいの学力はつくはずです。
「好きなことをやっていたいから」と言うと聞こえはいいですが、声優という夢を勉強からの逃げに使わないで欲しいと思います。
まとめ
本気で声優になりたいと考えているのなら、本気で努力が必要です。学生であれば、授業を真剣に受け、本気で勉強することが必要です。
私も勉強が嫌いな時もありましたが、「本気で声優になりたい」から、自分でできる精一杯のことは勉強してきました。
声優に学歴は必要ありませんが、学力を高めることを怠らないでください。