障害者は声優になることはできるのか?現場に行った声優が教えます!
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最近、発達障害という言葉をよく耳にします。声優になりたい人がなんらかの障害がある場合、それでも声優になることはできるのかということを考察しました。障害といっても種類も度合いもさまざま。大きく分けて、身体障害、知的障害、精神障害の3つに分類されます。

障害がある人は声優になれるのか?


声優として仕事をする際に障害がある人は、なかなか難しい現状があります。障害を持っていても、声優になりたい人も多くいます。実際の現場を経験して、障害を持っている人が声優になれるのか解説していきます。

声優の現場はバリアだらけ


実際の声優の仕事は主にスタジオでの収録です。スタジオにもよりますが、スタジオはビルの中や地下など騒音がない場所にあることが多いです。ビルの中の構造としてエレベーターを設置しているところはありますが、階段であることもあります。

また、スタジオには防音室があります。そのドアは非常に重く、マイクに外側の音が漏れないような構造になっています。

現在のところ対応しているスタジオはほぼない


私が現場に行った回数はそんなに多くありません。しかし、私が行ったスタジオはすべてバリアフリーとはほど遠く、身体障害を持った方はスタジオに入ることも難しいのではないかと思います。

今後はもしかしたらスロープがついたり、点字ブロックが設置されたりする可能性はあります。しかし、現状のスタジオで身体障害に対応しているスタジオはほぼないと言えます。

声優としての共演者との兼ね合いも難しい


ナレーションの仕事であれば、1人でスタジオに入ることが可能であれば、声優に慣れる可能性はあります。しかし、アニメや吹き替えの仕事に関しては、通常スタジオ1部屋で3本のマイクを共演者と共有で使います。

マイクワークと呼ばれる動きで、空いているマイクに入れかわり立ちかわりで使う必要があります。そのため、やはり障害を持った方が声優として仕事をすることはかなり難しいといえるでしょう。

障害を持った人が声優になれる可能性は低い


このことから、障害を持った人が声優になることは、可能性としてかなり低いことがわかります。特に「歩けない」「目が見えない」「耳が聴こえない」「言葉を発することができない」など、声優として必要な動作ができない場合は声優になれる可能性はかなり低いと言えます。

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障害の種類や度合いによっては可能性はあるかもしれない


残酷なことを書きましたが、冷静に分析すると障害を持った人が声優になることは難しいことはお分かりいただけたと思います。しかし、障害といってもさまざまです。障害の種類や度合いによっては声優になることも不可能ではないかもしれません。

声優になりにくいと思われる障害の種類

身体障害、知的障害、精神障害の中で声優になりにくいと思われる障害の種類を考えてみます。代表的なものだけなので、ここに紹介する以外にもあります。また、ここではアニメや吹き替えの仕事をする人を声優と定義して解説します。

【聴覚障害】

声優は共演者の声を聞き、それに合わせてセリフを発します。また吹き替えの場合にはヘッドフォンをつけて、海外の俳優さんが発するセリフに合わせて日本語のセリフを発します。

さらに、演じるということは、相手のセリフを「聞いて」それに受け答えすることが必要です。そのため、音が聴こえないことで共演するということができないと考えられます。

【視覚障害】

声優はモニターに映る映像を見て、その役が喋る口の動きに合わせてセリフを発します。吹き替えの場合には、モニターに時間が表示されますが、アニメには時間表示はありません。また、マイクワークもできることが必要です。

そのため、目が見えない状態では映像に合わせることはできないと考えられます。

【発達障害】

最近よく目にするようになった発達障害ですが、発達障害もさらに細かく種類があります。自閉症やアスペルガー症候群などは特に、人とのコミュニケーションが必要な声優には不向きと言えます。

声優は、人の気持ちや価値観など「感情」に関することを仕事にしています。発達障害の場合、「感情」が理解しづらい、理解できないことも多く、やはり声優になることは困難でしょう。

度合いによっては声優になれる可能性はある


障害をお持ちの方は、落ち込んでいるかもしれません。しかし私自身も心療内科に少し前までかかっており、ADHDの傾向があるので他人事だと思いません。(2019年8月現在、私はADHDの診断はおりていません)

それでも私は声優になりたいと思い、実際に声優になったのです。だとしたら、障害の種類や度合いによっては、声優になれる可能性もあるのです。例えば、片腕が使えない障害の場合であれば、台本を使える方の腕に持てば仕事は可能です。

歩くことが困難であっても、義足でフォローできるならマイクワークも可能でしょう。ADHDでも度合いによっては、声優になれる可能性は0ではないのです。

「声の仕事」ならできるかもしれない


「声優」=事務所所属だとすれば、障害を持っていたとしても「声の仕事」ならできます。今の時代インターネットでの声優募集もあります。自宅をスタジオとして使い、宅録して音声のみを納品する仕事もあります。

声優という仕事は、障害を持っていなくても狭き門と言われます。障害を持った方が、声優になれないと思っていても、考え方や方針を変えてみると声優になれる可能性も0ではないのではないでしょうか。

おまけ:駅で合った視覚障害のおばあちゃん


本題からは少し話が逸れますが、最近、視覚障害のおばあちゃんを介助してあたたかい気持ちになりました。私がそのときに思ったこと、感じたことをお話します。

仕事に向かう途中におばあちゃんに出会う


私は数日前、午後から仕事(声優の仕事ではなく)で電車に乗ろうと駅に向かっていました。駅に入るエスカレーターの前で、じっと立っているおばあちゃんに出会いました。その日の気温は35度。真夏の暑さでおばあちゃんは汗だくで立っていました。

一緒に駅までつきそう


おばあちゃんは「白杖」を持っていたので視覚障害であることがすぐにわかりました。熱中症になってはいけないと思い、思い切っておばあちゃんに声をかけたのです。

話をしているうちに、同じ駅まで電車に乗ることがわかったので、一緒に駅までつきそうことにしました。

おばあちゃんへのエンターテイメント


道中、おばあちゃんはいろいろなことを語ってくれました。一番ショックだったのが、「あなたは仕事ができていいわね」という言葉です。私にとっては仕事に行くのは億劫だし、幸せなことだとは考えていなかったのです。

当たり前だと思っていた日常は、当たり前ではない。改めてそのことを考えました。そして、視覚障害の人は家で何をしているのか想像しました。視覚情報がないのですから、TVを視ていても、音だけを聞いて楽しむ。本を読むことはできない。

そして思いあたりました。
そんなおばあちゃんの娯楽として、声優として何かすることができるのではないか。
朗読やナレーションで、もしかしたらおばあちゃんを喜ばせることができるのではないか。

今の私は地上波のアニメや吹き替えに出演するのは難しいです。華々しい声優の世界とはいかなくても、視覚障害を持った人に向けてエンターテイメントを提供できることも声優の仕事だと気づきました。

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