声優になりたいやつはバカだし、バカになれないと声優にはなれない
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いきなり衝撃的な言葉が並びますが、ご容赦ください。
これは、私が最初に通った声優養成所で、講師が言っていた言葉です。
この言葉を最初に聴いたときに、私は実感を伴わない理解だけでした。

でも、時間が経つにつれ、そして声優になってから、一度声優を辞めてフリーランスとして声優に復帰してから「なるほど」という実感とともにわかってきました。

「バカ」という言葉が辛辣に聴こえてしまう人もいるかもしれません。
関西では「アホ」と言い換える方がしっくりくるかもしれません。

でも声優になりたい人は、真剣にこの言葉を受け止めてほしいんです。

1)声優になりたいやつはバカ?


私は何でもまずインターネットで調べるのが好きなので、まずこの言葉をググってみました。
そうすると「声優になりたいやつはバカですか?」という知恵袋の質問があります。
世間一般的には「声優になりたいやつはバカだ」という認識があることを恐れての質問からです。

その質問への答えには、「夢を追うことはいいこと」という質問者を励ます言葉がたくさん!
うーーん。

実際に声優として声優事務所に所属した私としては、手放しに「夢を追うことはいいこと」だとは思えませんでした。

【1】なんで声優になりたいの?

将来何になりたいかの質問を小学生や中学生に投げかけると「声優」という答えが上位に入るほど、「声優」の認知が高まっています。
でも声優という職業は、そもそも職業ではないという認識の方が近いです。

会社員のように決まったお給料が出るわけでもありません。バイトのように時間給でもなく、ほとんどの仕事はギャラです。

小中学生が声優になりたいというのは、憧れに近いものであると思います。
声優はただ台本を音声にする仕事ではないんです。

多くの声優志望者が勘違いしているのが
「声優は台本をもってちょちょっと声を出すだけでちやほやされる」
「かわいい声やかっこいい声でアイドルのような有名人になれる」
というようなことです。

【2】有名人になるなら違う道もある

今ならYouTubeやライブ配信サービスなどでも、有名になることは可能です。
しかも、声優と違って専門の学校に行くことをしなくても、大金を払って機材を購入することも必要はありません。

YouTuberが楽だと言っているわけではなくて、投資するお金が少なくても気軽に始められるということです。有名人になりたいのならば、飽和状態にある声優業界に無理に入らなくてもいいということなのです。

有名になりたいのに、わざわざ1000人に1人ぐらいしか生活できない声優の業界に進みたいと思うのは、狂気の沙汰としか思えないのです。

【3】声優になりたいやつはバカである

声優業界は私が声優を目指すところから既に飽和状態にあります。声優になれる可能性は30人に1人、その中でも生活できるレベルの声優になるのは1000人に1人です。

効率よくお金を稼ぎ、有名になるのならば他にも道はあるのに、なぜ声優業界を選択するのか意味が分かりません。しかも声優は、役者の中でもテレビに出ても売れない俳優が修行のためにアニメに出たことが始まりとされています。

そんな地味な声優の業界でやっていこうと考えるのは、キラキラした声優の世界しか見えてないからではないでしょうか。

声優になりたいやつはやっぱりバカだとしか思えません。
もちろん私のそのバカの一人ですから、人のことは言えませんが。

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2)バカになれないと声優になれない?

でも私は思うのです。
バカになれないと声優にはなれないと思うのです。

その理由を説明していきましょう。

【1】芝居することはバカになること

芝居とは、自分という人格を捨てて、別の人格になることです。
自分がどんなに根暗な人間でも、底抜けに明るいキャラクターを演じることもあります。
自分がどんなにだらしない人間でも、医者や裁判官や弁護士などの仕事に就く人を演じるのです。

自分がその人物に対して、好きか嫌いかとか反対の性格をしているとか、性別が違うとか、ありとあらゆる違いがあっても演じるのが役者、そして声優です。

ある意味芝居をするということは、バカになることでもあるのです。

【2】「恥」はバカになる妨げ

演じる時に恥ずかしいという気持ちが生まれます。

「私はこんな性格はしていない」
「私はこんなにだらしない人物ではない」
「私はこんなに悪いことはしない」
「私はこんなに不細工じゃない」
「私はこんなに歳をとっていない」

これらはすべて、自分がその人物になることへの「恥」です。

また日本人は感情を表に出すことをよくないこととしている傾向があります。
日本では、感情的な人は冷静になるように諌められますし、感情的になると「恥ずかしい」と周囲に思われてしまいます。
しかし声優の仕事は役の感情を表に出すこと、その感情を伝えることが仕事です。

感情的になる「恥ずかしい」という気持ちは、一般的には良いことです。
しかし同時に「恥ずかしい」という気持ちは、声優になるのには妨げとなります。

【3】声優は「ごっご遊び」を本気でやるバカたち

 

小さいころに戦隊ものの「ごっこ遊び」をしたことはあるでしょうか。
また、おままごとでお母さんの役やお父さんの役、子供の役、子犬の役を演じたことがある人もいるでしょう。

その「ごっこ遊び」を今でも本気で続けている人がいたらどう思いますか?

声優は幼少期にやった「ごっこ遊び」を本気でやる人たちのことです。
いわば声優は「ごっこ遊び」を本気で続けているバカたちなのです。

3)声優になりたいやつは本物のバカになれ!

世間一般で言う「声優になりたいやつはバカだ」というのは本当のことです。
進んでそんなバカになりたいと自分の子どもが言い出したら、保護者が大反対するのも当然のことです。

人を楽しませるということは並大抵のことでできることではありません。
自己顕示欲だけで声優になりたいと思うのであれば今すぐ辞めたほうがいいと思います。

周りの人に声優になるやつはバカだと言われても、本気の「ごっご遊び」のバカになるしか声優になる道はありません
どんなことを言われても、何があっても声優になりたいと思うのならば、まずは声優に対する認識を変える必要があります。

マイクの前で台本を読むことが声優の仕事ではありません。
キラキラした華やかな業界は声優業界のごくごく一部の話です。

【1】アニメ声優じゃない声優の道

アニメ声優がライブで歌を歌って、ファンからの熱い応援を受けているのを見て憧れた人は多いのかもしれません。テレビではアニメ声優がゲストに出演して、楽しそうにアフレコの実演をしていますね。

声優になりたい人の頭の中は、その光景でいっぱいになっています。

しかし

声優として声優事務所所属している人の95%くらいは、そこにはいません。
それでも演じることが好きで、好きで仕方がなくて、声優を続けている人もいます。

吹き替えやナレーションの仕事を主にしている声優はそもそも顔を出してないので、どんな顔なのかも、どんな性格なのかも全くわかりません。
それでもその役の気持ちを視聴者に届けたいと言う声優たちなのです。

【2】アニオタじゃなく芝居オタになる

声優志望者になぜ声優になりたいの?
どんな声優になってどんなことをしたいの?

と聞くと、アニメに出演して、ライブで歌って踊って・・・と答えてくれる人がほとんどです。
私も過去はそうでした。
そしてそんな声優志望者が何をしているかと言うと、アニメを見まくる、アニメのイベントに行く、アニメの雑誌を読みあさる・・・。

この行動は声優になるための行動ではありません。
これじゃ、ただのアニオタです。

声優になりたい人は、芝居オタになってほしいと私は思うのです。
同じ声優さんを見ても、このキャラクターの時は

どんな演じ方をしている?
どんな思いで、どんな表現をしている?

そんなことを考えながら見て欲しいと思うのです。

【3】マイペースな芝居バカが声優になれる

芝居をやっていると、人と比べて自分が上手いのか下手なのかが気になってきます。
声優として長くやっていける人は、マイペースな人です。

マイペースと言うとのんびりしているイメージかと思います。
でもここで言うマイペースは、周りの人の芝居が上手いか下手かで比較することなく、自分にストイックになって追求していくということです。

自分にストイックになって追求していく・・・
つまりマイペースな「芝居バカ」が声優になれるのです。

書いてみたら、すごくひどいこと言ってしまったような気持ちになってしまいました。
でも、本気で声優になりたい人は、私ごときが声優になるなと言ったからといって辞めるわけではないですよね。

私も声優の端くれですから、半端な気持ちで声優の仕事に向かってはいけないと思っています。
プロとして声優の仕事を目指すのですから、本気でバカになってほしいと思います。

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