声優になろうと思って、声優養成所や声優専門学校を探している人はどこの学校に行けばいいのかとても迷います。いろいろネットで検索をしていると「声優養成所 厳しい」などでどこの声優養成所が厳しい学校なんかなんとなくわかってきます。
厳しい声優養成所に行くこと=声優になれるわけではありません。しかし厳しい声優養成所に行くメリットもたくさんあります。今回は声優養成所が厳しいことで得られるメリットを紹介します。
もくじ
声優養成所は厳しい?
声優養成所の名前を検索してみると、「青二塾 厳しい」とか「日ナレ 厳しい」とか、有名な声優養成所ほどなんとなく「厳しい」イメージを持たれる方が多いのではないでしょうか。一般的に声優養成所は、声優専門学校に比べると「来るもの拒む、去るもの追わず」の傾向にあるようです。
「褒めて伸ばす」はありえない
最近では子育てや学校の教育では「褒めて伸ばす」という教育方針が取り沙汰されています。しかし声優の業界に限っては、「褒めて伸ばす」ということはありえません。自分の演技を見てもらい、「ダメ出し」と呼ばれる講師からの指導が入ります。
指導内容は、「もうちょっとこうした方がいいんじゃない?」とか「ここはうまくできたね」なんてことを言われることはまずありません。
「ここができてない」「ここは全く伝わってこない」など、指摘を受けることだけなのです。
代わりはいくらでもいる
なぜ声優養成所では「褒めて伸ばす」ことをしないのでしょうか。今や声優になりたい人はかなりの数がいます。声優養成所は声優事務所が運営しているところが多く、声優事務所が今後売り出すにあたって、「売れる」と見込まれる人のみが所属することになります。
声優養成所は「声優になりたい人を育てる」なんてことはしていません。もちろん初心者の中にも勘のいい人はいて、声優養成所での1年や2年でめきめき上達する人もいます。でもそれは、その本人の努力や才能によって上達してきたということなのです。
声優養成所としては、声優事務所に所属させて売れる人をピックアップする学校が主流です。声優養成所には育てる声優養成所と、ふるい落としの声優養成所があります。そして声優養成所は初心者向けとうたいながらも、レッスン内容や査定の基準がふるい落としの声優養成所になっているところがいくつもあるのです。
その中でたとえ半分くらいが退所してしまったとしても、年度途中で新たに募集をかけることもできます。大手の声優事務所が運営する声優養成所であれば、いくらでも代わりはいるのです。
大ベテランなら褒められるのかも?
私も声優事務所に所属していた時代に、大ベテランの声優さんと仕事をしたことはありません。なので、大ベテランの声優さんがどういう風にディレクターさんからダメ出しをされるのかはわかりません。
しかしそこはディレクターさんにしろ、ミキサーさんにしろ、声優さんにしろ、「プロ」同士で仕事をしているわけです。そこに集まった人たちは「いい作品を作る」ことが全てです。そこに「褒める」という概念はないのではないでしょうか。
褒められることを目標にしてはいけない
そもそも今声優になりたい人は、何をしたくて声優になりたいのですか?それは決して「褒められる」ためにというわけではないと思います。褒められることを目標にしてしまう人は、声優業界にははっきり言うと向いていません。
本気で声優になりたいのであれば、プロのスタッフさんとプロとしての仕事をすべく、ひたすらにトレーニングを積み重ねるしかないのです。
お金をくれるのはクライアント
声優のギャラの出どころは、直接的には仕事をくれるクライアントです。わかりやすいのはTVCMを放送する制作費を出してくれる「スポンサー」です。アニメの場合だと、アニメの制作会社クライアントです。
ほとんどの場合テレビの制作費をともに出しているのは、「提供」と言われるスポンサーです。スポンサーが出してくれた制作費の中から、アニメだとアニメーターさんのギャラ、収録の時のスタジオ費用、スタッフさんのギャラなどを支払います。声優のギャランティもその中から支払われます。
継続的に仕事をくれるのは視聴者とクライアント
そもそもテレビの番組は、スポンサーがお金を出し、それで番組を作って、そのスポンサーの作る物やサービスを売るための広告費ということになります。長寿番組になればなるほど、スポンサーの知名度もあがりやすく、そのスポンサーが作る物やサービスが売れやすくなります。
「視聴率」という言葉を聞いたことがあるでしょう?視聴率が高ければ高いほど、たくさんの人がその番組を見ているということになります。そのことで番組の間に入るCMが多く目に入るようになり、商品やサービスが売れるようになるという仕組みです。
有名な声優さんやベテランの声優さんを起用することだけでも宣伝になることがあり、CMも視聴者の目に留まりやすくなります。間接的には継続的に仕事をくれているのは視聴者とクライアントということです。
そんなテレビの仕組みがある声優業界ですが、「褒められること」を目的にしてしまうことは、あまりにも自己中ですね。世の中の仕組みとして知っておいてください。
声優になりたい人はストイックであれ
では声優を目指す人は何を目的にすればいいのか?それは最終的にはひたすらに演技力を磨くことです。いつまでも起用され続ける声優であることが、声優で生活できるようになることにつながります。
一度売れて、世間に名が知れるようになったとしても、いつ仕事が来なくなるかわかりません。声優になりたい人はひたすらにストイックであってほしいと思います。
声優養成所が厳しい方がいいワケ
では今回の本題、声優養成所がなぜ厳しいところの方がいいのかを説明します。
打たれ強くなる
先ほどもご紹介したとおり、声優として仕事をする場合には褒められることはありません。ただあるのは良い作品を作るためにダメ出しを受けるのです。時にはかなり厳しいことも言われることもあるでしょう。そんな時にいちいち落ち込んでいたら仕事になりません。どんなに叱られても、プロとして演技をしなければいけないのです。
声優養成所の時に、その厳しさに触れておくことで、それが当たり前のことになります。もっと言うと、ダメ出し自体も厳しい言葉ではあってもそれは、良い作品を作るためのアドバイスなのです。いつか声優になった時、仕事で大失敗をしても、気持ちを切り替えて演技に向かうことができるように練習しているのだと思うようになります。
声優に向かない人は無駄な時間を使わずにすむ
最近言われるようになったのは「時間を無駄にしない」ということです。日本人は特にお金は大切にしても時間は大切にしないということもよく言われます。人生一度きり、時間は有限なものです。
そして演技力がある声優さんは五万といます。声優養成所が厳しいことで落ち込んで、すぐ辞めてしまう人には、声優業界は用はありません。つまり声優業界の厳しさに耐えられない人は必要ないということです。
そのため、厳しい声優養成所では「あなたは声優に向いていない!」ということを講師に言われることもあります。もちろん言われた方は落ち込みます。でもそれでやめてしまうようであればそれまでなのです。逆に言うと、やめてしまった人は向かない仕事について苦しい思いをして、無駄な時間を使わずに済むということなのです。
厳しい声優養成所
ここで私が厳しい声優養成所であるとよく聞く学校を紹介していきます。
勝田声優学院
私自身が通った勝田声優学院は、次にご紹介する青二塾と並んで、業界でも厳しいことで有名でした。残念ながらすでに閉校となっており、通うことはできませんが、今でもネット上には「勝田声優学院 厳しい」というキーワードでの記事がいくつも出てきます。
最初のレッスンで学院長の勝田久さんがホワイトボードに「優勝劣敗」とデカデカと書きました。文字通り優れている者が勝ち、劣っているものが負けるという意味です。
勝田声優学院ではこの「優勝劣敗」が声優として勝ち上がっていくためのキーワードでした。さらに、他の講師の方からは「日本の経済活動に全く貢献していない身分」なのだと自覚するように言われました。だから声優になるには、苦しいことを乗り越え、コツコツと努力をし「日本の経済活動に貢献できるようにする」ことが養成所生たちの使命なのだと言われました。
中には同期が「お前は声優に向いてない」とはっきりと講師の人に言われ、次の日から来なくなるなんてこともありました。それは勝田声優学園に入所してわずか1ヶ月ぐらいのことです。ゴールデンウィークが終わる頃には、クラスの1/3ぐらいはいなくなりました。
青二塾
業界の中でも大手声優事務所である青二プロダクションが設けているのが青二塾です。この声優養成所も業界の中では、かなり厳しいことでも有名です。私自身が青二塾と勝田声優学院で迷ったあげく、レッスンの日数が多く、生活ができないという理由で青二塾を断念しました。
今思えば行っとけばよかったかな・・・。
業界の中で最も厳しいと言われる青二塾ですが、私自身に体験レッスンに参加したなどの経験がないので、 Twitterより引用してご紹介します。
青二塾東京校にいました。青二塾は養成所で、声優専門学校とはまたちょっと違い、ガチで厳しいです。毎年ノイローゼで辞める人がいるって伝説があるくらい厳しいです。怒鳴られたり、先生の機嫌を損ねて授業が止まったりはわりとよくあります。
青二塾は厳しいけど、いろいろ教えてもらえていい、って聞くね(*´∇`)たしか週5か週3通いしかないから週1の養成所探してたわたしは諦めたけどw見学できるとこなら、見たら参考になりそうだよね
担任から青二塾の見学に行くのを進められた。担任曰わく、青二塾は厳しいから一度見学して本当に自分が勝ち残っていけるかを見て欲しいらしい。
よく声優養成所は厳しい、声優専門学校は通いやすいとか言われてますが、本気で声優になるのであれば、私は是非厳しい声優養成所選んで欲しいと思います。その方が自分の声優になりたい本気度を試すことにもつながります。
声優業界は、声優はお客様待遇になることは皆無です。ただ「良い作品を作る」目的で集まる人たち。もう令和の時代ですが、声優業界は 「the 昭和」の業界です。見方を変えて、一般企業に例えると超絶ブラックです。それでもそこで生き残った人たちだけが声優として活躍できる業界なのです。