声優になりたい人は、高校生や中学生だけでなく今や小学生まで広がっています。
正確な統計は取っていませんが、私が声優になりたいと思った時に比べてもかなり低年齢化が進んでいるように思えます。
実際に声優になりたい人から質問を受けても「大学生から声優養成所に通うのは遅いですか」という内容も見受けられます。
声優になりたいと思った場合に、気になるのが「年齢」であるようです。
今回は声優になりたい人は若くないとダメなのか、年齢は関係ないと言われるのは本当なのか説明していきたいと思います。
もくじ
1)声優になりたいけど年齢は関係ある?
声優養成所の募集要項のページを見てみると年齢の記述がある学校もあります。その声優養成所にはその年齢の人しか募集を使用していないので当然受験することはできないということになります。
でも活躍しているベテラン声優を見てみると80歳くらいでも現役の方は結構います。
声優になりたいけれど年齢は実際関係あるのかどうか見ていきましょう。
【1】声優自体に年齢制限はない
声優という職業は、個人事業主で声優の仕事をする上での年齢制限はありません。そのため、幼稚園児であろうが、80歳のご年配の方であろうが声優としての必要な演技が提供できるのであれば声優としても仕事ができます。
声優には一般の会社のように定年退職という制度はなく、仕事が来るのであれば生涯現役でいられるということでもあるのです。また、クライアントが小学生や幼稚園児を使いたいという希望があるのであれば、子役の劇団からもしくはオーディションで声優として起用される子もいるでしょう。
【2】声優養成所には年齢制限があることも
先ほどご説明したとおり声優自体に年齢制限はありませんから、声優養成所についても年齢制限がないところもあります。
しかし特に大手声優養成所、青二塾、81、日ナレなどは入所オーディションの募集要項に年齢制限を設定しています。
例えば81アクターズスタジオでは「高校卒業以上~26歳」、 青二塾は「高校卒業以上」です。
【3】声優養成所が年齢制限設定する理由
声優養成所は、高校卒業以上を対象としている学校が多いです。それはなぜかと言うと、西友には高校卒業するくらいの学力レベルが必要だからです。
また、年齢の上限を設定しているのも理由があります。声優として芝居をする上で、年齢が高くなりすぎていると吸収率が悪いということがあるからです。
ただ最近では年齢上限を設けない声優養成所も増えてきているようです。
【4】年齢は売れる声優には関係がある
年齢の上限を設定している理由として、売れる声優になるかどうかということは声優事務所にとっては切実な問題です。
声優事務所は、声優が仕事をすることによって儲けが出ます。
逆に言うと仕事が来ない声優をたくさん抱えていても意味がないということなのです。
現在ではアイドル的な活動やアーティスト声優、TVへの出演など声優の活躍の場は広がっています。
声優としての声の仕事だけでなく、メディアに露出出来るような人の方が声優事務所にとっては稼げる要素が多いということになるのです。
そのため売れる声優には年齢という要素は関係あると言えるのです。
2)売れる声優に年齢が関係がある理由
売れる声優に年齢が関係あるということは、声優養成所の募集要項を見ても分かります。その理由をもう少し深く掘り下げてみましょう。
【1】年齢が高いと売り出す要素が減る
先ほども少し触れましたが現在ではライブ活動や芸能人のようなテレビへの出演も声優の仕事として増えてきたように思います。
10代後半や20代前半から声優になりたいという夢を持って声優養成所に通った人は、声優デビューが20代前半から20代後半です。
声優としての仕事が安定してきてそれなりに売れてくる年齢はおおよそ30代前半です。
演技未経験の状態で声優養成所に入ってくる年齢が30代前半となると、そこから更に遅れてデビューということになります。
ライブ活動や芸能人のようなテレビへの出演に関しては、年齢が低い方が起用しやすいという事実は否めません。
【2】中堅声優と張り合うことになる
声優デビューが20代前半から20代後半だったケースを考えてみましょう。
それなりに仕事が入ってくるようになるのが30代前半ということになります。
そういった人が売れなかったとしても声優を細々と続け、アニメや吹き替えの中でも、30代、40代というような年齢相応の役で起用されることもあります。
対して声優デビューが30代後半だったとすると、30代、40代の役をそれなりに声優を続けてきた人と奪い合うということになります。
当然経験値も違いますので、30代後半デビューの新人声優はかなり不利ということになりますね。
【3】中堅声優は飽和している
声優になりたい人は増えています。声優事務所に所属している声優も昔に比べて増えています。売れている声優は一部のみです。そうなると売れない中堅声優がどんどんと増えていきます。
声優事務所からみても、中堅声優は飽和しており、売れない、仕事が多く入ってこない声優がたくさん所属している状態です。そんな中に30代後半デビューの声優を新しく入れたりするでしょうか。
中堅声優が飽和していることも、年齢が声優に関係する理由の一つです。
3)年齢を重ねていても声優になりたい人は?
年齢を重ねている場合、声優になりたいというのははっきり言ってかなり無謀です。
それでもどんなに厳しいとわかっていても年齢が重なっていたとしても声優になりたいと思う人もいるでしょう。
実際に私自身は大学を卒業した23歳から声優養成所に通いました。アニメの声優になるには少々遅い年齢だったことにその時に気づきました。
年齢を重ねている場合に、どうしても声優になりたい人は妥協も必要です。
【1】吹き替え声優やナレーションを狙う
アニメ声優は視聴率や製作費の問題から、年齢を重ねた声優はなかなか起用されない傾向にあります。
吹き替えやナレーションのジャンルであれば多少年齢が高くなっていても起用される可能性が高くなるのです。
声優になりたいけれど年齢を重ねている人は、アニメ声優は諦めて、吹き替えやナレーションのジャンルを目指すことをおすすめします。
【2】声優を副業にする
声優という職業は、特に資格がなくても極端に言えば「声優」と名乗ればなれる職業です。(認知度があるかどうかは別として)
声優事務所に所属することができたとしても仕事がないのであればあまり意味はありません。 フリーランス声優として自分でオーディションを受け、合格できれば声優としての仕事もできます。
年齢を重ねている以上、誰かに生活費を負担してもらうことができない場合には、自分自身で生活費を稼ぐ必要があるのは当然です。
メインの仕事を声優にするのではなく、副業として声優の仕事をすることなら可能です。
もちろん副業として声優の仕事をする場合にも、オーディションに合格する必要はありますから、声優養成所などに通って演技の基本は身につけておく方が良いでしょう。
【3】声優を続けることをメインにする
声優という職業はいつどんな風に「売れる」のかは分かりません。遅咲きの声優ももちろんいるので、声優事務所に所属しながら声優を続けることを目的にするのもいいでしょう。
若い時には「売れる」ことが目標になっていることも多いと思います。
しかし「売れる」ということは人との出会いの運とか時代の流れとか、自分自身の力量によるものだけではないのです。
年齢を重ねて声優になりたいと思った人が「売れる」ことを目標にしてしまうと、かなり辛くなってきます。
それよりも声優という声の仕事をコツコツと続けていくことをメインに活動すると、精神的にも安定しやすいのではないでしょうか。
私自身、声優デビューが29歳くらいだったと思います。声優業界の中でも年齢を重ねているほうでしたし、声優事務所になったことで安心して力が抜けてしまったという過去があります。
一旦声優を辞め、演技をしない期間が続いた時にさまざまなことを考えました。
芝居を続けていくことこそが、私の夢なのだと気づいたのです。
人の人生はいろいろですが、年齢を重ねてもなお声優になりたい人の参考になれば幸いです。