【最重要】声優の「台本を解釈」とは何か?台本解釈の手順を公開!
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私が声優養成所に通っていた時、一番多く教わったこと。
それは「台本を解釈する」ということです。

声優はセリフを読んでいる「だけ」だと思っている声優志望者が後を絶ちません。声優の仕事はもちろんスタジオでも収録はするのですが、 前の収録をする前の準備、すなわち「台本の解釈」が最も重要です。声優の仕事は台本の解釈が8割以上を占めていると言っても過言ではありません。

少し前に最近の若者は文章の読解力がないというニュースも目にしました。声優になるために、読解力をつけることが重要なことは言うまでもありません。読解力がなければ台本を解釈することもできなくなってしまいます。声優として台本の解釈をすることがほとんどの仕事です。つまり、読解力がない場合には声優の仕事としては失敗になってしまうこともあるのです。

台本解釈前の準備


声優の仕事に向かう前に自宅やその他練習のできる場所で、やっておくべきことは「台本の解釈」です。台本の解釈をするにはまずは準備が必要です。この作業は、台本とスマホ1台あれば事足ります。

【1】言葉の意味


台本に目を通し、まず行うことは「言葉の意味」を全て分かるようにしておくことです。中には慣用句や四字熟語など、自分が聞いたことのない言葉が台本にちりばめられていることもあるのです。いきなり声に出して台本を読むのではなく、まずは黙読して、言葉の意味を全て分かるようにします。

言葉の意味は辞書を調べてもいいですが、今の時代スマホが最も役に立つと言えます。 ネットの情報にはもちろん嘘もあるので辞書を調べる方が正確ではあります。しかし手軽さで言えばスマホの方が勝ってしまうので、嘘の情報も見極めつつ、言葉の意味を調べましょう。

【2】アクセント


次に確認しておきたいのが言葉のアクセントです。福岡県出身の私は、結構なまりもあるので、ちょっとでも分からないアクセントがあった場合にはすぐにアクセント辞典を開きます。これはもう癖みたいなもので、特に台本を読まなくても、言葉のアクセントが怪しい場合には覚える意味でもアクセント辞典を使います

当然現場で確認する作業が発生することもあります。そのため現場にもアクセント辞典は欠かせません。電子アクセント辞典なるものも登場していますが、私は紙ベースのアクセント辞典を好んで使っています。

【3】ト書きを含めた素読み


「素読み」は声優さんはあまり行うことはないのかもしれません。しかし言葉の意味を正確に表現するために、ト書きを含めた台本全てを素読みします。素読みとは、感情を一切込めずに、台本に書かれてあるすべてを音読することです。

ポイントとしては「感情を抜き」にした音読とということです。アナウンサーがニュースを読み上げる場合でも、多少の感情は表現されていることはわかりますか?明るいニュースであれば笑顔で、暗いニュースであれば無表情でというように、アナウンサーのニュースの読み上げでも感情の表現はあるのです。

素読みの場合は、アナウンサーのニュースの読み上げのような表情すらなく、ただただ正確に台本を読み上げるのです。そのことで口をセリフに慣らしていくこともできます。また最初に行った言葉の意味が改めてわからなくなることもあります。その場合には再度最初の作業に戻って、言葉の意味から調べなおします。

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声優の「台本を解釈する」とは


ご紹介した準備が終われば、いよいよ台本を解釈していきます。その前にまず、「台本を解釈する」とはどのようなことを言うのでしょうか。

【1】全ての事柄に理由付けをする


セリフやト書きにも必ず理由や意味があります。役の背景(バックグラウンド)や「あ!」というセリフにも台本に書いてある全てに理由があります。その「なぜ」を考えていくことが台本を解釈するということです。

【2】台本には無駄は一切ない


台本を解釈していく上で重要なことは、台本に書いてあることはすべて何かしらの意味があるということです。台本には無駄なものは一切書いてありません。

例えばト書きに「本が一冊置いてある」と書いてあったとします。この本は何かしらでこの物語に関わりがあり、ただ置いてあるだけの本ではないのです。もちろんその関わり方は、直接的ではない場合も当然あります。

置いてある本が、「実は古い魔道書であった・・・。」などとそこに書いてある場面よりもかなり後に意味がわかるということもあるのです。

【3】脚本家の意図を汲み取る


台本というのは簡単に言えば脚本家がその物語を文字で綴ったものです。脚本家がその物語を書くということは、「脚本家の意図」が必ずそこにはあるのです。

よく学校の国語のテストで、作者の意図を汲み取って回答するという内容があります。台本の解釈をするということは、国語のテストと似ていて、作者(脚本家)の意図を汲み取っていくことそのものなのです。

声優の台本の解釈のやり方


台本の解釈がどのようなものかある程度分かったところで、今度は実際の台本をどうやって解釈していくのか説明していきます。この作業は基本的には音読はしません。音声にしてしまうと、ただのセリフの言い方の練習になってしまうからです。音声にするのは台本のすべてを解釈した後で行うのです。

【1】物語全体を解釈する


まずは物語全体を「読み」ます。この物語が何を言いたいのか、何を意味しているのかを考えていきます。この作業は、どの声優さんでも行なっていることです。ベテランの声優さんになると、物語全体を解釈する作業を最初の言葉の意味やアクセントを確認する時点で行っている場合もあります。

【2】役の背景を解釈する


次に役の背景を解釈していきます。登場人物(役)には、全て役割があります。通行人 A でも、村人 B でも必ず役割があります。もちろんキーパーソンにならないこともあります。

主役は物語を進める上で最も重要と考えがちですが、主役以外にもキーパーソンとなり得る役割の場合もあります。

例えば事件モノを扱う物語の場合、隣の家のメイク中のおばさんが出てきて「隣の人?隣の人なら何日か前からいないわよ」というセリフだけでもそれが事件解決の糸口になったりもしますよね。

自分が演じる役だけでなくすべての役に対してどんな役割なのかをを考える癖をつけましょう。

【3】シーン別に解釈する


物語全体のある程度のイメージができてきたら、今度はシーン別に解釈していきます。大抵の台本の場合、シーンに分かれており、場所が変わったり、登場人物が変わったりしますね。時には1シーンが継続していることもあります。その場合でも、大まかにでいいのでシーンに分けて考えていきます。

ここでもそのシーンの意味や作者の意図をきちんと考えていきましょう。

【4】シーン別の役を解釈する


全体の役割の他に、「そのシーンでの」役割ということもあります。その役がそのシーンで「どんな意味を持っているのか?」を考えていくことで、演じ方が変わってくるのです。当然ですが、最初の物語全体の役割から外れるような解釈をしてはいけません。物語全体の役割にプラスするような「そのシーンでの役割」というイメージですね。

【5】セリフとト書きを解釈する


シーン別の解釈ができたら、さらに細かくセリフやト書きの解釈をしていきます。セリフ1つ1つにも意味はありますし、ト書きにも必ず意味があります。

例えば「女の子が泣いている」というト書きの場合、その前後を読めば、女の子が「なぜ」泣いているのかが分かるというわけです。

【6】1文1文を解釈する


セリフやト書きの解釈ができてきたら、さらに細かく区切って考えます。セリフにも様々な長さのものがありますね。

「おはよう」という1文だけならいいのですが、中には2ページ、3ページに渡ってのセリフも存在します。演劇用語だと「長ゼリフ」というものですね。セリフは、基本的には句点「。」で区切られた「文」があります。

その文に分けて解釈していくのです。長いセリフであればあるほど、その中での役の気持ちの変化も多くあります。その気持ちの1つ1つをすべてはっきり理解しておくことが、解釈ということでもあるのです。

【7】1節1節を解釈する


最後に、細かく分けた1文をさらにさらに細かくしていきます。国語の用語で言うと「文節」にあたるものですね。また、文章の中に読点「、」があるので、そこで区切って解釈していきます。

最初のうちは一つ一つ分けて解釈していく、面倒な作業だと思うでしょう。これまでご紹介してきた7つの手順は、ベテランの声優さんなら当日台本をもらってもできることです。それは何度も何度も、何本も何本も台本を読みこなしてきた人だからできることです。もちろんいくつかの手順を同時にできる人もいるので、自分に合わせてカスタマイズしてやってみてください。


新人のうちは、もしくは声優養成所に通っているうちは、どんなに面倒でも台本の解釈を手順通りに行うことが重要です。この作業がめんどくさいのであれば正直なところ声優は向いていないのではないかと思います。

台本の解釈の作業は、国語のテストの拡大版というようなイメージです。声優になりたい人に何度も何度も「読解力をつけてほしい」というのは、声優の仕事として解釈することが最も重要だからです。

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