声優という仕事は一般的に知られているものと、実際に声優になった時に回ってくるお仕事のギャップがあることがあります。
声優の仕事はアニメが主になりますが、実は他にもたくさん仕事があります。どんな仕事があるのか見ていきましょう。
もくじ
声優とはどんな仕事?
一般的に声優とは、アニメのキャラクターに声を吹き込む仕事のことを指します。しかし声優というのはアニメ以外でも、声を使ったお仕事でギャラを貰う仕事のことです。声優がやっている仕事というのは、アニメのアフレコの仕事だけではありません。
声をあてる役者のこと
声優という職業は、「声をあてる役者」のことです。TVなどで見かける有名な声優は多くがアニメに出演しており、一般的な声優といえばアニメ声優というイメージが浸透してしまっています。しかし声優の歴史を見てもわかる通り、またベテラン声優がよく言っている通り、声優は声の役者のことです。
声優の仕事はアイドル声優の仕事とは別だと思う方がいい
声優志望者にありがちなパターンで、ライブをしたり、イベントに参加したりと言う華々しい活躍をしたいと考えている人が多くいます。よく「 アイドル声優」という呼ばれ方をしますが、プロの声優の多くがアイドル声優ではないのです。
アイドル声優は、あくまでも声優の一部の人たちのことです。アイドル声優に比べて、この後紹介する映画の吹き替えやナレーションの仕事をする声優は、顔出しの仕事が少ないのが特徴でしょう。もちろんアニメにも吹き替えにもナレーションもできるマルチの仕事をする声優もいます。
声優は地味な仕事
声優志望者が憧れる「声優」とは、テレビアニメに出ており、なおかつライブ活動などをしている声優のことを指しているのではないでしょうか。声優になりたい人が憧れているのは声優というよりは「アニメので声優」のことが多いですね。
しかし声優という仕事は本来、裏方の仕事なのです。テレビで見ているような華々しい職業ではありません。一部そういう人たちがいるだけなのです。
声優として華々しくデビューすることを夢見ている人には、「声優が裏方の仕事だ」というのが、かなり辛い現実だと感じることが多くあります。そのため実際に声優養成所に通ってみると「なんかイメージするのと違った」と辞めていく人も多いのです。
声優の仕事内容7つ
ここで声優の仕事内容の主なものを紹介していきましょう。7つに分かれていますが、その1のアニメの声優が目立つため、ご存じない方もいらっしゃると思います。
【その1】アニメのキャラのアフレコ
声優志望者がよく知っている仕事はアニメのキャラのアフレコです。TVでよく見る声優さんも、アニメのキャラのアフレコの仕事が多い声優さんたちです。この仕事が派生して、ライブ活動につながったり、イベントに参加したりするなどの仕事も来るようになります。
声優のアニメのアフレコの仕事は、競争率が非常に高く、入れ替わりも激しい世界です。年齢層も若めで、20代に入ってから声優の勉強を始めると少し遅いと感じると思います。実際に私も20代でアニメの声優を目指していましたが、この現実を知って次にご紹介する吹き替えの道に進みました。
【その2】映画や海外ドラマの吹き替え
声優の仕事として次によく知られている仕事は映画や海外ドラマの吹き替えです。 外国の映画の俳優さんの口に合わせて、声をあてる仕事です。アニメに比べて自然な演技を求められることが多いジャンルです。アニメがデフォルメされた演技を求められることが多いですが、それと対照的ですね。
声優の仕事の中で吹き替えのジャンルは20代に入ってから声優の勉強を始めた人でも、遅くはありません。その年代での声優志望者が少ないため競争率はアニメに比べると低くなります。
【その3】CMなどのナレーション
声優の仕事の中でも最もギャランティーが高いものが CM などのナレーションです。CMにもいろいろなメディアがあります。TVCMが最もメジャーですが、他にもラジオCM、インターネットCMなどもあります。特にTVCM になると、大きなスポンサーがついているためギャラは高くなる傾向にあります。
声優として生活を成り立たせたいのであれば、最初からナレーションを狙っていくのも一つの方法だと思います。
声優の仕事の中でもナレーションのジャンルは、年齢層も高めです。ナレーターという声優とは別の職業として捉えられています。ナレーションの仕事をするのは声優だけではなく、芸能人やアナウンサーなど他の職業の人もナレーションの業界にはいらっしゃいます。
求められている声が「落ち着きのある声」「ハキハキした喋り方」などであることも多く、それに応えられるのが年齢が高めであることが多いのです。
もちろんテンションを高くナレーションを進める必要が出てくることもあります。その場合には若い声優さんでもチャンスは多く巡って来ます。
【その4】アプリのアフレコ
スマホの普及に伴い、アプリの声を入れる仕事が声優の仕事として多くなっています。製作費の関係上、ギャラは低めに設定されることが多いです。しかし声優を起用するアプリの仕事の数はどんどん増えているのが現状です。アプリのアフレコの仕事は声優だけの募集だけではないこともあり、一般公募になっていることもあります。
アニメ声優の延長のような仕事になることもあります。アニメに出ているキャラクターの声でアプリを作ることがあるからです。そのため、アプリでの声の出演もアニメと同様に年齢層は低めです。
【その5】ラジオのパーソナリティ
最近では声優がラジオのパーソナリティを務めることが多くなってきました。ラジオのパーソナリティだけを仕事にする人が減ってきたとも言えます。アニメ声優が、そのキャラクターの声でパーソナリティを務めることで、リスナーが増えるからです。
【その6】結婚式の MC など
あまり知られていませんが、小さい事務所であれば結婚式のMC、イベントのMC の仕事がくることもあります。MCとはmaster of ceremonyの略です。簡単に言うとイベントの司会者のことです。声優としてMCの仕事をしている人に関しては、多くメディアに露出しているわけではないため、無名の人が多いのです。
司会の仕事は、時間通りに進行をすることが重要です。結婚式やイベントでは突発的なことが起きることも珍しくありません。それに瞬時に対応できる能力が必要なのです。またイベントの年齢層やターゲットによって、MCの年齢層もそれに合うように起用されます。
【その7】その他
その他と一括りにしてしまっていますが、例えば企業のプロモーションビデオ、研修用の動画などにナレーションを入れたい場合などに声優を起用することがあります。ナレーションの仕事のくくりでもありますが、声優の仕事の中でもギャラは安く設定されていることが多いです。
また会社のプレゼン用に、ナレーションとして起用されることもあります。
新人声優は仕事を選べない
よく「このキャラクターなら私できるかも」「この役なら私に合っている」と言う言葉を聞きます。しかし新人声優は仕事を選べません。そもそも選ぶ立場ではありません。最初は村人Aとか通行人とか、名前のつかない役ばかりです。しかも、主役級のキャラクターではなくても、ベテランの声優さんが端役を演じることもあります。例えばベテラン声優の野沢雅子さんが通行人の役をやることだってありえるのです。つまり声優は仕事を選ぶことはできないということです。
声優事務所に仕事を斡旋してもらう
声優事務所とは、所属している声優に仕事を斡旋する組織です。昔からある老舗の大手声優事務所であればアニメの仕事以外にも吹き替えの仕事やナレーションの仕事もたくさん来ます。しかし中堅クラス、小規模の声優事務所には、なかなか仕事が回ってきません。
どの声優事務所に所属するかによって、ある程度仕事の獲得率が決まってしまうのです。
声優事務所によって得意なジャンルがある
大手から小規模まで、声優事務所は得意なジャンルがあります。声優の主な仕事それぞれに強い声優事務所を挙げていきましょう。
アニメに強い
声優志望者が一番気になるのがアニメに強い声優事務所でしょう。
この三つは大手声優事務所であり、特にアニメの仕事が多くある声優事務所です。もちろん他の仕事が少ないわけでもありません。アニメのクレジット(エンドロールのこと)を見ているとこの三つの声優事務所がよく挙がっているのが分かります。
吹き替えに強い
吹き替えに強い声優事務所はあります。しかし特に映画の吹き替えは、先程ご紹介したアニメに強い声優事務所の所属声優に指名で仕事が振られることも多くあります。どちらかと言うと吹き替えの仕事は指名制の方が多いのが特徴です。
81プロデュースはアニメにも強い声優事務所です。声優の仕事だけで生活して、さらにトップクラスの声優になりたいのであれば81プロデュース一択になるのではないでしょうか。
ナレーションに強い
声優の仕事としては少し毛色の違うジャンルであるナレーション。声優養成所のレッスン内容も「セリフ」「ナレーション」と二大柱でやっている印象です。
青二プロダクションは、アニメや吹き替えでもよく名前を見かけます。声優の業界では、最大手である81プロダクションと青二プロダクションが二大勢力であると言えるでしょう。当然声優養成所の競争率も高く、合格するだけでも困難であると思われます。
それでも売れる声優になりたいのであれば、弱気になる必要はありません。10代、20代前半の声優志望者であれば、この二つの声優事務所を狙うのが王道だと言えます。
売れれば垣根も超えられる可能性あり
今までご紹介した三つの声優の仕事のジャンルの間には垣根があります。そして声優は自分の意思でどんな売り方をしていくのか決めることはできません。どんな売り方をしていくのかは声優事務所が決めることです。
例えば最初からナレーションがやりたいと思っていても、演技の質や声質など様々な要因でアニメに合っていると声優事務所が思えば、アニメの仕事が増えるでしょう。アニメの仕事がしたいと思っていても、吹き替えの仕事が来ることだってあるのです。所属した声優事務所がどのジャンルが得意なのかということでも声優の仕事の内容が偏りがあります。
声優という仕事は、縁の下の力持ちであることを理解しておくことが大切です。あくまでも作品を構成する一部に過ぎないということを理解しておくことです。アニメの声優に憧れて「声優になりたい」と思っている人は、その理解が欠けていることが少なくありません。
せっかく声優養成所に入っても、「イメージが違った」とならないよう、しっかりとポイントを抑えておきましょう。