声優ならば標準語で話せるのは当たり前!方言やなまりはNGなの?
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私自身福岡県出身なので、声優になりたいと思い立った時は当然方言を話していました。でも何が自信だったのか分かりませんが、自分は標準語を話していると思い込んでいたのです。自分が声優として標準語を話せていないということに気付いたのは声優養成所に入ってからのことです。

クラスメイトから指摘されることもありましたし、講師の人から指摘をされることもありました。なぜ声優は標準語を使うことができなければいけないのか解説していきます。

声優は標準語が基本


TVでアニメを見たり、映画館で映画を見たりした時に方言で喋っている声優さんもいますね。関西弁のキャラクターはアニメだとよく使われています。それでもその声優さんは、他のキャラクターをやるときはちゃんと標準語で話すことができるのです。

まず声優がなぜ標準語が話せなければいけないのかを説明しましょう。

【1】声優は放送業界の職業


声優は放送業界の職業です。簡単に言うと視聴者にTVで音声を聞いてもらい、物語を伝えたり、情景を説明したりする職業です。TVの番組には全国区のものもあります。東京だけではなく、北は北海道から南は沖縄まで日本全国の人が放送を見ているわけです。

ローカルなテレビ番組であれば方言で話しているのを見たことがあるかもしれません。しかし声優が放送業界の職業である以上、日本全国どこに住んでいても理解ができる言葉として標準語を話すことが必要になってくるのです。

【2】ジャンル問わず標準語を話す必要あり


当然その標準語は、声優のジャンル問わず必要となります。ポイントは「日本全国、どの人が見ても理解ができる日本語」である必要があるということです。アニメでよく関西弁のキャラクターが話しているところを見たことがある人もいるでしょう。

でも実はその関西弁は、「放送業界用の関西弁」であることも少なくありません。これは声優の業界だけでなくお笑いの業界でも同じことが言えるそうです。博多出身の博多大吉花丸も正確に言えば、放送業界用の博多弁なのです。福岡出身の私から聞いても、標準語に近い、わかりやすい博多弁で話していることがわかります。関西の人なら「放送業界用の関西弁」は不自然に聞こえるのではないでしょうか。

【3】なまりや方言はダメ?


だとしたら、声優になりたい人が話すことが訛りがあったり、方言があったりするのはダメなのでしょうか。地方の人は、地元に愛着がある人も多く、標準語を話すことにも抵抗がある人もいます。私自身も地方出身ですから、その気持ちはよくわかります。でも声優になると決めた以上、仕事で正確な標準語を話せるようにしておくことは必須なのです。

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声優志望者が標準語を話すには


では声優志望者が標準語を話すようにするのはどうすればいいのでしょうか。生まれてからずっと方言を聞いて、方言を話して育った人は、日常的に標準語を話すようにする努力も必要です。

【1】声優養成所に入る前でも練習


まずまだ声優養成所に入っていない人であっても、なるべく標準語を話せるように練習していきましょう。地元の人と話している時には「気持ち悪い」とか「なよなよしている」とか言われるかもしれません。(実際に私もそう言われました)

でも本気で声優になりたいのなら、本気で標準語を話せるように努力しましょう。

【2】なるはやで上京しよう


別の記事で地方に住んでいる人はなるべく早く上京した方がいいとお伝えしました。その一つの理由として、標準語を覚えやすいというメリットがあるからです。標準語や方言は、言語なので、耳で聞きながら、話しながら覚えていくのが最も効率がいいのです。

英語で会話ができるようになるのと同じようなものです。英語で会話をすることができるようになるには、留学をするのが最も早いと考えられています。それは日常生活の中で耳で聞き、言葉を発するからなのです。標準語を話すためには、なるべく早い段階で上京することをおすすめします。

【3】紙ベースのアクセント辞典


標準語が本当に標準語なのか疑わしい場合もあります。若者言葉と言われる言語もありますので、東京出身だとしても、標準語を話せていない場合も考えられます。その時に活躍するのがアクセント辞典です。アクセント辞典とは標準語として定められたアクセントをまとめたものです。出版元によって、記号の書き方が少し違いますが、日本語の正しいアクセントが書いてあるものです。

現在では、電子アクセント辞典もあります。電子アクセント辞典のメリットとしては、アクセントの記号がわからなくても、音声で説明してくれるところです。しかし個人的には紙ベースのアクセント辞典をおすすめしています。声優の仕事でスタジオに入った時、音声を聞くことが出来る環境にあるとは限りません。その場合には紙ベースのアクセント辞典が活躍します。

日本語の発音


ここで日本語の発音がどのようにされているのか説明していきます。

【1】日本語と英語のアクセント


日本語という言語は音の高低によって発音します。アクセントとイントネーションはどちらも日本語の音の高低のことをさします。

英語のアクセントやイントネーションは音の強弱で発音します。英語辞書を見てみると、「´」のような記号を見たことがあるでしょう。この記号があるところを強く発音するのが英語の発音です。

【2】日本語のアクセントとは


今度は細かく日本語の分析をしていきます。日本語のアクセントは 単語ごとの音の高低のことを指します。

例としては、標準語の場合以下のようになります。

    • 猫(ネコ)→ネ(高)コ(低)
    • ご飯(ゴハン)→ゴ(高)ハ(低)ン(低)

【3】日本語のイントネーションとは


アクセントと似た言葉で「イントネーション」というものも日本語には存在しています。イントネーションとは、 文単位での音の高低を指します。

例としては、標準語の場合以下のようになります。

例文
    • 明日はお休みですか?→最後が高くなる
    • わかっているのです。→最後を下げる

日本語のイントネーションは、疑問形の場合は語尾を高くすることで表現できます。通常の文章は、自然に音が下がっていくことが多くあります。

【4】日本語のプロミネンスとは


声優養成所で教わることが多いですが、プロミネンスという言葉もあります。日本語におけるプロミネンスとは、文の中で特定の場所を強調することを指します。

例としては、標準語の場合以下のようになります。

例文
    •  私は学校で声優になるための勉強をしています。
      → 「私は」を強調すると「誰が」という情報が強く伝わる
      →「 学校で」を協調すると「どこで」という情報が強く伝わる
      →「勉強を」を協調すると「何を」という情報が強く伝わる

プロミネンスに関しては、声優としてもセリフやナレーションの中で「何を伝えなければいけないのか」に関わってきます。プロミネンスの使い方を間違えると、相手への伝わり方が変わってきます。
ここから先の話は、声優のテクニック的なところに関わってくるのでまたの機会にしておきます。

アクセント辞典の使い方

私はNHKアクセント辞典を愛用しています。

アクセント辞典を買ったはいいけれど、日常的に使うと言ってもどう使えばいいのか分からない人もいると思います。私が標準語を覚えるにあたって、アクセント辞典をどう使っていたのかご紹介していきます。実は私が持っているアクセント辞典は、声優養成所時代からずっと使っているものです。今でもこの方法で、アクセントを覚え続けています。

【1】わからないアクセントはすぐに調べる

台本をもらって最初にすることは、書いてある言葉の意味を全て分かるようにすることです。その次にすることは、正しいアクセントを理解して発音できるようにしておくということです。

今まで自分が喋っていた日本語が標準語かどうかはアクセント辞典を調べればすぐにわかります。分からないアクセントはすぐに調べる癖をつけましょう。わからない言葉だけでなく、なんとなく話していた言葉も同様です。

【2】1回調べたら赤線、2回調べたら青線

1回目アクセント辞典を調べた言葉には赤線を引きます。 2回目同じ言葉をアクセント辞典で調べた場合には青線を引きます。1度調べたことがあれば、赤線が引いてあるので2度目だということがわかりますね。

3回目調べてみると、なんとそこには青線が!
これは完璧に覚えなければなりません。

【3】3度調べても覚えられない言葉

アクセント辞典を調べた時に、青線が引いてあるのであれば、もうこれは徹底的にアクセント覚えるしかありません。アクセントを覚えるには、日常的に使って覚えるのが一番です。なるべく日常的にその言葉を使うように自分を仕向けます。多少不自然な会話でもOKです。

それを何度も何度も、何年も何年も繰り返しながら標準語を覚えていくのです。

アクセントを日ごろから意識する

英語の勉強でもそうですが、語学を学ぶのは話すことだけが全てではありません。耳で聞いて覚えることも必要です。

【1】NHKのニュースで勉強


耳で聞くと言っても、東京にいる友達とおしゃべりするだけでは正しい標準語かどうか判断がつきませんね。東京にいる友達だとしても、若者言葉でしゃべっている可能性もあるのです。

NHKのアナウンサーは、標準語を喋るエキスパートとして教育されていると言われています。いわば標準語のお手本というわけです。 NHK のニュースを聞くことによって、正しい標準語を耳で聞いて覚えていきます。

同じアナウンサーでもバラエティ番組に出ているアナウンサーのアクセントやイントネーションは、現代風にアレンジされたものである可能性もあるため、注意が必要です。最近では、NHKのアナウンサーでもアクセントを間違えている人もいるので、疑問に思ったのであればアクセント辞典を開くこと忘れないでください。

【2】アクセント辞典の巻末を読む


アクセント辞典は単語単位で表記されています。当然日本語は単語だけで成り立つものではありません。助詞や助動詞がつく場合や数詞がつくことでもアクセントが変化するものも存在します。アクセント辞典の巻末には、付録が付いていることがあるので、是非読んでみてください。

日本語がこんなに複雑な言語だったなんて、私も声優の勉強を始めるまでは知りませんでした。アクセント辞典を最大限に活用すれば標準語は話せるようになります

【3】方言はスキルとしてとっておく


すっかり標準語が話せるようになったあなたは声優としてのベースが作られたと言ってもいいでしょう。

でも方言は?
声優になったら方言はしゃべってはいけないの?

地方出身者は地元への愛も強い人もたくさんいます。その方言は、声優としてマイナスになるものではありません。例えばその方言を話すキャラクターに指名された時、方言を使って存分に表現してください。方言は、声優としての一つのスキル、個性としてとっておけばいいのです。

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