声優になるためには、初心者であれば学費でかなりの費用がかかります。これから声優になりたい人のためにいったいどれくらいのお金がかかるのか、私の実体験を交えながらご紹介していきます。
もくじ
声優になるにはお金が必要
どこどこの声優養成所が安いとか、どこどこの声優専門学校が高いとか、声優になるにはどうしても費用がかかります。声優志望者は、運良くデビューできて、そのまま売れっ子になり、声優の仕事だけで生活できるということを夢見ていることと思います。
声優養成所からストレートに行けると思うな
声優養成所から声優事務所に残れる人の数をご存知でしょうか 。声優養成所では多くの場合1クラス20人から30人くらいです。仮に20人とした時に、3クラスあったとしましょう。合計60人のうちその声優事務所に残れるのは、多くて5人くらいだと思います。
声優養成所からストレートに声優事務所に残れるのは、多くて12人に1人ということになります。その他の人はどうするのでしょうか。
そのまま声優になるのは諦めてしまうのか、もしくは他の声優養成所に入り直すかのどちらかが選択肢となることが多いです。
声優専門学校は声優養成所の予備校と言われるワケ
声優専門学校の場合はどうでしょうか。声優専門学校の場合、1クラスの人数は声優養成所と同じか、それよりも多いことがほとんどです。また声優専門学校はクラス数が多いので、全体の母数が大きくなります。
オーディションを開催し、声優事務所のマネージャーや偉い人が見に来ると思います。そのうちどれくらいの人数が声優として事務所に所属できるのでしょうか。間違いなく声優養成所よりもその数は少ないと思われます。
そして声優専門学校を卒業した後、声優事務所に入れなかった人は、多くの場合声優養成所に入所するという選択肢を選ぶのです。声優専門学校が声優養成所の予備校と言われてしまうのはこのような理由からです。
【体験談】声優になるための借金
実際に私が声優になるために必要だった費用を計算してみました。私の場合、声優養成所に3校通って、やっと声優になれました。しかし声優になった後も、声優事務所でのレッスンや仕事を取るために通った声優の学校にもお金が必要でした。
私の場合、大学卒業してから上京しその後声優養成所に通い始めました。大学では奨学金を取らず、両親にはこれ以上の費用の負担は難しい状態でした。
最初の上京費用と初年度の声優養成所の費用を両親にお願いして出してもらいました。
上京してすぐ、アルバイトを始めました。声優養成所のレッスン以外はほぼアルバイトで時間が過ぎていきました。
貯金はしていたのですがそれだけでは費用が足りず、カードで借金をするという悪循環にはまっていきます。あまりに威張れるものではありませんがどれくらいの費用がかかったのか細かく説明していきましょう。
1校目 勝田声優学院
最初に通った声優養成所は、今はもうありませんが勝田声優学院という学校です。鉄腕アトムのお茶の水博士の声で有名な勝田久さんが学院長を務める学校です。 この学校は声優業界でも非常に有名で、今でも活躍する数々の有名声優さんを輩出しています。
勝田声優学院には合計3年間通いました。1年目は週に3回レッスンがある本科に通いました。そのため、費用も2年目よりも高くなっています。
- 本科(1年目) 50万円
- 研究科(2年目) 25万円
- ゼミ科(3年目) 25万円
2校目 俳協ボイス
いよいよ声優事務所に所属するため、声優事務所が運営する養成所に入所します。 この時点ですでに25歳でした。そのためなるべく要請期間が声優養成所を選びました。
俳協は、アニメ、吹き替え、ナレーションと様々なジャンルで活躍する声優さんが多く、また俳協という事務所の雰囲気が自分に合っていると感じたことが選択した理由です。俳協ボイスの声優事務所に残るためのオーディションでは、1次審査は合格しました。
この時大阪校もあったため、同期はおよそ400人くらいいたと思います。1次審査に合格したのはおよそ80人くらい。残念ながら、2次審査は不合格でした。私が通った期で俳協の声優事務所に残れたのは一人か二人くらいだったと思います。
- スタンダードクラス 半年間 20万円
3校目 E-sprinG声優養成所
追い詰められた私は、何とかして声優になれないものかと考えます。E-sprinG声優養成所は、新設の養成所でした。外画の吹き替えのジャンルに進みたかった私は、社長と顔見知りだったこともあり、E-sprinG声優養成所選びました。
私が入所したのは、E-sprinG声優養成所3期です。1クラスしかなく、クラスには10人ほどでした。すでに声優養成所に通う費用は底を尽きており、借金をして声優養成所に通うしかありませんでした。
- 研修科(1年目) 20万円
- 実践科(2年目) 18万円
声優事務所 E-sprinG
2年間の養成期間を経て、声優事務所E-sprinGに入れたのは、この後ご紹介する映像テクノアカデミアに合格できたからです。E-sprinGは、新設の事務所ということもありマネージャーの数は少ない事務所でした。
そのため営業はほぼ自由。自分で仕事を見つけることができないと声優としての所属が認められないのです。
- 預かり(1年間)1カ月1万5千円
- 所属 1カ月 1万5千円
映像テクノアカデミア
映像テクノアカデミアにはプロクラスという特別クラスがあります。このクラスは声優事務所に所属している人向けのクラスです。毎週オーディションという形式でのレッスンで、ディレクターが直接レッスンを見て、キャストを決めるクラスです。
ここには学資ローンも使える制度がありましたが、学資ローンは使いませんでした。それでもカードで借金をし、1年間プロクラスに通いました。
- プロクラス(1年間)26万円
劇団あかぺら倶楽部
実は俳協ボイスに通っていた時から、劇団あかぺら倶楽部という劇団に入団しています。この劇団は最初に通った勝田声優学院の卒業生が立ち上げた劇団です。勝田声優学院で華の5期と呼ばれた声優さん達がずらり。
名探偵コナンや大河ドラマにも出演した高木渉さん劇団あかぺら倶楽部の立ち上げメンバーです。現在もこの劇団で舞台に立っていらっしゃいます。もう退団してしまっていますが、セーラームーンで有名な三石琴乃さん、根谷美智子さんも劇団あかぺら倶楽部にいらっしゃいました。
- 劇団費 1カ月 1万5千円
どうにかして声優になりたいと、どんな方法を使ってでも声優になりたいと、思ったからこその借金です。後悔はしていませんが、お勧めできる方法ではありません。私が声優になるまでに使った費用、声優になってから使った費用を合計してみます。
- 声優になるために合計:169万円
- 声優になってから合計:80万円
声優の勉強を始めてから、6年ほど経過しています。その間の費用の合計はおよそ250万円です。最初の学費や状況費用は、両親が負担してくれましたので、私の借金はおよそ200万円くらいです。
借金ですから毎月支払いがあります。当然毎月の支払い金額は膨れ上がっています。そして、声優としてもなかなか仕事が取れないことで、モチベーションは下がっていきました。
借金のせいでモチベーションが下がっていたのかもしれません。追い詰められた私は、声優を休業することにしました。借金をすべて返し終わった時に、それでも声優をやりたい気持ちが残っているのかがその時には考えられませんでした。
劇団も辞めて、声優事務所も辞めて、一般企業に就職しました。その時の借金はもうすでに返し終わっています。
声優の華々しい面だけ見るのは危険
このブログを読んでいる人は少し怖くなったのではないでしょうか。というか怖くなってほしいです。テレビを見ていて声優の華々しい面だけが見えている人はとても危険です。両親が費用を負担してくれているうちはいいのです。
社会人で貯金がたくさんある人は問題ないと思います。だけど私のように、貯金が下手な人は声優になるという夢、一歩立ち止まった方がいいかもしれません。
声優になるために学費を借金するのは間違い
借金をしてまで声優の勉強をすることは、間違いだったと今では思います。確かにどんな手段を使ってでも声優になるという強い意志は重要です。借金をしたことに対して後悔はしていません。
あの時点では私にはそうするしかなかった。なんとしてでも声優になりたかった。でも借金は正しいことではなかったのです。
声優専門学校 新聞奨学生の闇
声優専門学校だと声優養成所に比べて、学費は2倍以上になります。その学費を払うために、新聞奨学生という制度があります。奨学金と謳っていますが、 借金の名前が変わったものと思った方がいいです。
声優専門学校に入り、そのままストレートに声優になれる人はほとんどいません。新聞奨学生は、新聞配達をしながらそのお給料を学費にあてるというもの。私が作った借金となんら変わりないのではないでしょうか。
新聞奨学生は、声優専門学校を辞めても、新聞配達を続ける必要があります。もちろん夢を叶えた人、声優になって売れっ子になれば美談として語られます。
私が今回このように借金の話をしたのは、声優の夢を諦めろと言いたいわけではありません。それ相応の行動を起こし、情報を集め、借金をせずに声優の夢を叶えて欲しいからです。私は声優養成所の回し者でもありませんw
声優専門学校からも最近では有名な声優さんが輩出されています。声優の華々しいところだけを見て、現実から目を背けることは、良くないことだと思っています。 もちろん今回紹介したお話は私のお話です。そうではない声優さんのほうがたくさんいます。声優になりたい人の悪い例として参考になれば幸いです。