声優になるには、もしくは声優になっても、オーディションの壁が立ちはだかります。特に声優養成所のオーディションでは自己PRを課題とする声優養成所は多いです。声優になりたい人は自己PRがどんなものなのか、何を話せばいいのか迷いますね。
声優志望者が押さえておくべき自己PRのポイント5つをご紹介します。
もくじ
自己PRは声優としての個性や発想力を見るもの
そもそも自己PRで何を題材にすればいいのか?、何を話せば良いのか考えれば考えるほど分からなくなりますね。自己PRはどんなところを審査されているのか解説します。声優になりたいなら、良い自己PRで審査員の目をひきたいところです。
審査員に印象づける
審査員は声優養成所の場合だと、講師の方や声優事務所のマネージャー、声優養成所の所長さんなどが多いです。審査員の人たちが「おお!」と印象に残る自己PRをすることが重要です。
歌や朗読はおすすめしない
よく自己PRで特技の披露をすることで印象づけようとする声優志望者がいます。特技の披露は、審査員の印象づけに役立ちます。しかし、歌や朗読はおすすめしません。もちろん歌を幼少期から習っていて、絶対的な自信があるなら別ですよ。
大抵の場合、歌が得意とは言っても素人レベルでの話です。また朗読は、プロの声優さんを凌ぐものができるなら、とっくに声優さんになれてますね。審査員の声優さんの多くが朗読を仕事にしているのです。また、朗読自体が別に課題となっている場合もあるので、良い自己PRにはつながりにくいのです。
オーディションのときの見た目も大事
「人は見た目じゃない、中身だよ」と言われることもありますが、声優養成所のオーディションでは「中身より見た目」です。10分程度の面接やオーディションでその人の中身を知ることはできません。
アメリカの心理学者アルバート・メラビアンによれば、人の第一印象は見た目が55%、耳からの情報(声)が38%、話す内容が7%だと言われています。
このメラビアンの法則をオーディションで当てはめると、まずは見た目が非常に大切だということがわかりますね。着ていく服やヘアスタイル、歩き方や仕草、表情がすべて「見た目」です。
間違っても声優オーディションでボロボロの服ですっぴんでなんてことがないようにしましょう。見た目を良くするには、普段から自分に似合う服を見つけておくことや綺麗な立ち振る舞いをするように心がけましょう。
自己PRは自分の得意なことを話す
見た目はそれなりにできたとして、今度は耳からの情報38%の部分と残りの話す内容ですね。声優養成所のオーディションの自己PRではどんなことを話せばいいのか本題に参りましょう。
自分の得意なことを考える
自分の得意にしていることはなんでしょうか。自己PRを考えていく上で重要なことは、人と比較して、自分の個性とも言える「得意なこと」「特技」を話すということです。しかし、特技を話すとなるとまた悩みますね。
「特技は?」と聞かれて「コレです」と言い切ることはできないのが普通です。
声優として活かせる特技かどうかよりも、審査員の印象に残ることを第一に考えましょう。さらに、声優養成所のオーディションでは、その場で披露することもあります。
「ギターが得意です」と自己PRで言った場合、その場にギターはないことがほとんどのため、審査員としても「ふーん」という印象になってしまいますよね。
自分にとっては当たり前のこと
得意なこと、特技と言っても、人より目立つ派手なことをする必要もありません。
自己PRで得意なことと言うと、人と比べて奇抜なことをすると考えてしまいます。例えば、「バク転できます」とかですね。
もちろんバク転できるなら、人にはできない特技なので、自己PRに盛り込めばいいです。でもほとんどの声優志望者はバク転はできないですよね。
それなら、自分で意識しなくても当たり前にできることを探してみましょう。言い換えると、自分の「いいところ」「長所」から自己PRを考えるのです。
当たり前のことを「表現」する
自分の長所が「元気がいい」ことだとします。自己PRは「元気よく」始めましょう。それも、自己PRのときだけ元気なのはダメですよ。会場についてからずっと元気な挨拶、大きな声を意識しましょう。
普段から元気がいいことが長所ならば、それをちょっと誇張するように意識します。会場にいる誰よりも元気に振る舞うのです。
風邪をひいたことはここ3年間1度もありません。
高校では皆勤賞をもらうほどの元気を持っています!
大事なことは、ただ「元気である」ことを言うのではなく、どれくらい元気なのかを具体的に盛り込んで話すことです。声優としては「3年間も風邪をひかないくらいの元気を持つ人」という印象づけができますよね。そして、元気を自己PRにするのなら、とにかく「元気に」を自己PR以外でもずっと意識していることです。自己PRのときだけ大きな声では「元気さ」が伝わりません。
平凡な特技や趣味でも、表現次第で審査員の印象に残る自己PRをすることができるのです。自己PRでは「何を話すか」だけでなく「話し方」=「表現」の部分が最も重要なことなのです。
声優志望者が自己PRを作るポイント5つ
声優になりたい人は声優養成所のオーディションだけでなく、その後も数々のオーディションを潜り抜けて、勝ち上がることが必要です。声優になりたい人が自己PRを作るときのポイントをご紹介します。
時間のバリエーションをいくつか作る
声優養成所や声優オーディションでの自己PRは、時間制限があることが多いです。時間のバリエーションは、オーディションの規模によっても変わります。
バリエーションのパターンとしては30秒、1分、1分半、2分などさまざまです。課題の内容が最初からわかっているならあらかじめ時間を計って作っておきましょう。課題の内容が分からない場合は、30秒、1分・・・といくつかのパターンを想定して作っておくようにしましょう。
1分で1話題におさめる
1分の自己PRの場合、2つも3つも特技や趣味について話すことは難しいです。また、2つも3つも話すことで、審査員の印象が薄くなる可能性もあります。
目安として1分あたり1話題で考えるようにしてください。好きなアニメについて話すのなら、1つのアニメについて話すようにしましょう。
話し方・伝え方を考える
先ほども少し触れましたが、自己PRは話す内容よりも「どのように話すか」がポイントです。声優は役者であり「表現者」です。前の人と同じ内容になってしまったとしても、その話し方・伝え方、つまり「表現の仕方」次第で審査員に残る印象はまったく違ってきます。
同じ内容を使いまわさない
二次審査や三次審査まであるオーディションを受けるのならば、自己PRで同じ内容をそれぞれの審査で話すのは避けましょう。審査員が同じ人であることもあるため、同じ内容を話すのはリスキーです。
賛否分かれる話題にはしない
審査員だって人間です。あまり自分が好きではないことについてずっと語られ続けるのはいい気持ちにはなりません。例えば野球や政治、宗教のことについては、意見として賛否分かれる話題です。
野球は、日本人の年齢が高い人は興味があることが多いです。どのチームが好きで・・・とかならいいですが、好きじゃないチームをけなすような発言をすると印象は最悪になる可能性もありますよ。
政治や宗教はあまり自己PRにしようと考える人は少ないとは思います。しかし、政治や宗教の話題は、それぞれの考え方や価値観に触れてしまうことにもなるのでおすすめしません。
元声優の失敗自己PR
ここで、私の声優オーディションでの失敗談をお話しましょう。実際、私も自己PRが超得意!なワケでもないです。失敗から学んだことが多いのですが、読んでくださる方の参考になれば幸いです。
失敗自己PR1:歌で撃沈!
劇団俳協の入団オーディションでの自己PRです。
歌は私は好きでしたし、人よりは上手い自信もありました。でも素人でした。
歌を習ったわけでもなく、なぜあのとき歌を選んでしまったのか・・・。
オーディション当日は、緊張のため声も上ずり、音程もとれていないひどい有様でした。
今思い出しても恥ずかしい・・・。
結果は不合格でした。でも、2回目のオーディションでは、元気よく外郎売をやりました。実は劇団俳協は2回受験して2回目に合格したのですが、審査員の方が覚えてくださっていました。
審査員「1回目はスゴイ緊張してたよね」
私「はい・・・」
歌はもう自己PRではやらないと心に誓いました。
失敗自己PR:過去の自己PRの使いまわし
今度は俳協の声優養成所でのことです。
1次試験では、1分の自己PRで何を思ったのか詩の朗読をやりました。
結果はなんと合格!
内容というよりは、そこそこ表現できてたのかなあと今思います。
しかし2次試験での失敗。
自己PRがまさかの30秒だったのです!
30秒バージョンの自己PRを考えていなかった私は、焦りました。
そして1次試験でやった自己PRでの詩の朗読を速いスピードで30秒に詰め込むというありえないことをしでかしました。
バリエーションがなく、自己PRの使いまわし・・・
書いていて恥ずかしくなりました。ということで今回は終了です。
自己PRは派手なこと、目立つことをしなくちゃ!と考えがちです。でも全然そんなことはありません。声優として、表現者として「どんな伝え方をするか」を意識して作っていきましょうね。