よく声優養成所のオーディションで「なぜ声優になりたいのか」理由を問われるシーンがあります。ツイッターでも「声優になりたい理由が真面目じゃないとダメですか?」という内容の質問もいただきます。
なぜ声優になりたいのか理由を持っていないといけないのか、真面目じゃないと本当にダメなのかを解説していきます。
もくじ
声優になりたい理由を明確にする
声優になりたい理由を声優養成所のオーディションでなぜわざわざ聞くのでしょうか。
有名な声優さんの声優になりたかった理由として「満員電車での通勤が嫌だったから」を挙げた人がいます 。ぱっと見真面目なわけではないと思うのですが、それでもその声優さんは声優として活躍しているのです。
【1】「アニメが好き」はきっかけ
声優になりたい理由として「アニメが好きだから」と答える人がいますが、実は理由になっていません。声優でなくても、アニメーターや音響監督など、アニメに関わる仕事は他にもあります。
「アニメが好きだから」はあくまでもきっかけです。
「声優が好きだから」はなんとなく理由になっているように聞こえますが、この声優になりたい理由では、ただのファンの延長ということにも聞こえますね。声優になりたい理由を聞くというのは、「なぜ声優という職業でなくてはならないのか?」を自問する必要がありますよ。
【2】真面目な理由でなくていい
最初にご紹介したとある声優さんの「満員電車での通勤が嫌だったから」も声優になりたい理由の一つです。声優養成所でその理由を述べた時にどんな反応が返ってくるかは分かりません。ここで言う声優になりたい理由に関しては、正直なところ真面目なわけでなくても問題ありません。後でご紹介する私がなぜ声優になりたかったのかを読んでみると分かってくると思います。
でも満員電車での通勤が嫌なのであれば、声優ではない他の職業でもいいですよね。でもその真面目じゃなさそうな声優になりたい理由でも自分ではっきりわかっていることが重要なことなのです。
もう一度考えてみましょう。
「なぜ私は声優になりたいのか?なぜ声優でないといけないのか?」
【3】声優になって何がしたい?
声優になりたい理由を考えていくにあたり、「声優になって何がしたいのか」を考えるとなんとなく形が見えてきます。例えば
- 声優になってアニメで人を感動させたい
- 声優になってちやほやされたい
- 声優になって好きなことで生活したい
などなど。自分に正直に考えていくと結構分かります。真面目な理由でなくても構いません。そのビジョンが明確であればあるほど、そのビジョンに向かう力が強くなります。
声優になりたい理由を忘れるな
ではなぜ「声優になりたい理由」が必要なのでしょうか?私も声優になって初めて「声優になりたい理由」が必要であるわけを知りました。
【1】声優になることを目的にするな
いつのまにか「声優になること」そのものが目的になってしまうことがあります。実は私もこれは失敗した経験があります。声優事務所に正式に所属することになり、「声優になれた」ことに満足してしまったのです。
声優になったその後をはっきりさせておかなかったから、声優になった途端に何をしていいのか分からなくなったのです。
声優になることを目的にしてしまうと、声優になった途端に目的が無くなってしまい、目標もなくなってしまうということなのです。イメージとしては山を登り切って高原が開けたはいいけれど何したらいいのかわからない・・・という感じですね。
【2】声優になりたい理由を忘れると・・・
中には声優養成所の時に声優になる目的を忘れてしまう人もいます。この場合「結局声優養成所って何で通ってるんだっけ?」という迷路にはまってしまいます。そうなると貧乏しながら一人暮らしをして、バイトを毎日繰り返している日常が嫌になってきてしまいます。
結果モチベーションが下がり、声優になる夢を諦めるということになります。
【3】理由がはっきりするとブレない
声優になりたい理由をはっきりさせておくことで、自分の目的、自分の姿がイメージできるようになります。ポイントは先ほどもご紹介した「声優になった後に何をするか?」を考えておくことですよ。
目的や目標がはっきりしていると、人間はそのイメージになるべく近づくように行動します。よくアスリートが金メダルを取った姿を想像するというのを聞きますが、それは典型的な目標設定ということなのです。
私が声優になりたかった理由
ここで私が声優になりたかった理由を赤裸々に公表したいと思います。おそらくこれを読んでいる方の中にも、私のような理由で声優になりたいと思った方もいるのではないでしょうか。
【1】スーツで出勤したくない
正直な気持ちを申し上げますと、私はスーツが嫌いです。満員電車に揺られて、毎日毎日同じような事をして、帰宅して寝る・・・そんな毎日を送りたくなかったのが理由です。
【2】好きなことでお金を稼ぎたい
声優になりたい理由として、自分の好きなことでお金を稼いで、そのお金で生活していきたいと思っています。これは今も気持ちとしては変わっていません。
【3】有名になりたい
今はこの理由はもうありませんが、声優を目指した当初は「有名になりたい」という気持ちも少なからずありました。私も思春期の頃は人並みに承認欲求も強く、有名になれば華やかな声優としての生活が待っていると思っていました。簡単に言うとアイドル声優になりたかったのです。
【4】自由でいたい
甘いと人生の先輩には言われてしまうと思いますが、「自由でいたい」というのも声優になりたい理由の一つです。この理由に関しては実際のところ今もあまり変わっていません。
4つの私の声優になりたかった理由をご紹介しました。すごく恥ずかしい・・・。
でもそれでいいのです。
この4つのブレない理由があったからこそ、私は声優事務所に所属でき、「声優」になれたのですから。
表向きの理由も作っておく
とはいえ、先程ご紹介した4つの理由は、自分の人生の願望でもあり「声優でなくてはならない」理由ではありません。「真面目な理由」というわけでもないですが、声優養成所の入所オーディションなどで質問された時に、ある程度受け入れやすい理由もちゃんとあったのです。
【1】声を発するのが好き
とにかく私は昔から声を発することは好きでした。時にはおしゃべりが過ぎて注意されてしまうこともあるくらいです。次から次に言葉が出てきて、声を発すること=ストレス発散というくらいです。
声優という仕事は声を使った仕事。
声を発することが好きな私は、だからきっと「声優」を選択したのだと思います。
【2】見る人に心を動かしてもらいたい
これもよくある声優になりたい理由だと思います。でも人とかぶったっていいのです。
昔からアニメやドラマや映画を見て、涙を流すことは多くありました。人生に影響を与えた作品もたくさんあります。その裏方として声優という存在を知ったとき、芝居をすることで人の心を動かすことができれば、最高に幸せかもしれない・・・と思ったのです。
今では声優事務所に所属する形ではなく、フリーの声優として活動を続けています。途中ご紹介した、人には言えない声優になりたい理由もちゃんと持ったままです。
一度声優という職業をやめてしまった時、どんなに芝居から離れていても何かの作品を見るたびに「私だったらこんな芝居をするのにな」「この役だったらこう表現した方がいい!」とずっと考える日々が続きました。芝居をしないことが苦しい状態です。
つまり、私は声優になれなかったとしても「芝居を続けていきたい」「声を使って仕事をしていきたい」という気持ちは変わらなかったのです。この理由にはいいも悪いもなく、ただ自分の気持ちに素直になったから出てきたものです。
もう一度自分の気持ちを正直に考えてみてください。
たとえ声優という形ではなかったとしても、自分ではっきりとした理由がわかっていれば、ブレずに人生を進んでいけます。