LGBTだけど声優になりたい!声優はLGBTだとなれないの?
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ときどき声優になりたい方からの質問で、
「私はLGBTですが、声優になれますか?」というものがあります。

LGBTとは、レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(性別越境者)の頭文字をとった単語です。セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)の総称ですね。また、最近では「LGBT」だけでなく「Q」を加えた「LGBTQ」や「LGBTQIA(+)」といった言葉もあります。

ここで紹介していくにあたり「Q」まで説明することになると、より混乱させてしまう可能性があるため、性自認の定義が一般的でない人を「LGBT」と表現しています。

声優の三ツ矢雄二さんも自身がLGBTだということをカミングアウトしたことをご存じの方も多いですね。LGBTという言葉が、世の中に広まってきましたが、反応もいろいろ。

多様性を大事にする!とは言っても、
理解できない、嫌悪感を抱くなんて人もたくさんいます。

そんな中、自分もLGBTで声優になりたいと思った方は、
当然不安になってしまいますよね。

私自身は、他の記事にも紹介したように、ASDという発達障害です。
その特性のためか、女性でありながら、男性のような考え方も持っています。

「だから理解できます」とは言いません。
ただ、男性的な考え方のせいか、女性らしいお芝居が難しいのは同じかなと思ったので今回触れることにしました。

私は生涯でLGBTであることを公表している人に3名お会いしたことがありまして、どの方も悩みながら、でもすごく魅力的に生きてらっしゃいます。前置きが長くなってしまいましたが、LGBTの人でも声優になれるのかについて考えてみました。

1)LGBTで声優になれるのか?


まずいきなりの本題ですが、LGBTでも声優になれるのか考えてみます
LGBTの方には、私がLGBTについて無知な部分もあるとお叱りを受けることもあるかと思います。

また、ここでは「普通」という言葉をあえて使っています。「普通でない」ことを言われたくないとか、傷つけてしまうとかもあるかもしれません。ただ、マジョリティとの対比的な表現として使っています。その点はご容赦ください。

【1】どんな人でも声優になれる可能性はある


最初に言っておきたいことは「どんな人でも声優になれる可能性はある」ということです。
声優という仕事は、これができたらなれるとか、ここをクリアすればなれるとか、そういった仕事ではありません。

声優になるための資格も存在しませんし、声優事務所に所属していなければ声優ではないのかということもありません。

LGBTでも発達障害でも、「どんな人でも声優になれる可能性はある」のです。

【2】声優としての技量があるかだけ


どんな人でも声優になれる可能性はあるとは言っても、全員が声優になれるわけではありません。事実、毎年30万人の声優志望者がいて、実際に声優事務所に所属できる人は、たったの1万人です。

声優になれるかどうかは「声優としての技量があるか」という1点のみです。
滑舌や発声や演技力などのお芝居の技量が、声優として仕事をする上で及第点ならば、どんな人でも声優になれるってことなのです。

【3】声優になれるのは「普通」を演じられる人


声優の仕事は「人間」を演じることです。マイクの前でワーキャー言ってるだけの仕事ではありません。人間として「普通」を演じられることが求められるわけですね。

プロとして声優として仕事をするには、人間として普通を「演じられるか」を求められるということです。

演者が例え「普通」でなかったとしても、LGBTでも発達障害でも「普通を演じる」ことができるのならば、声優になることに支障はないのです。

【4】LGBTへの無理解で傷つくこともありえる


声優業界は、超縦社会で、超古風な業界だと私は思います。声優は労働基準法にも守られているわけでもなく、昔ながらのスパルタ(古い・・・)とか根性論とかも当たり前に残ってます。

もちろん、少しずつ社会の流れに沿って変化はしていますが、一般企業に比べると化石のような部分もあります。LGBTであることへの無理解や配慮不足などから、傷つくことを言われる可能性も十分にあります。

基本的には「女性は女性らしく」「男性は男性らしく」が求められてしまう業界だという覚悟は必要だと思います。

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2)声優になりたい人はLGBTを公表するべき?


LGBTの方が公表(カミングアウト)すべきかどうかを悩んでいることもあるでしょう。結論を言いますと、カミングアウトするのは自分の判断で、タイミングが合えばというくらいの方がいいのかなと思います。

【1】「持っているもの」で判断されがち


声優になるということは、自分自身が持っているもので勝負するということです。自分自身の「声」でお芝居をするのです。つまり自分自身を磨き、「お芝居」を商品として売り出すということです。

例外として、とてつもなく顔立ちがいいとか、歌が上手いとかはあります。でも、自分自身が生まれついた「声」でお芝居をして、商品になるかどうかが判断されるってことなのです。

【2】LGBTであることが武器になる可能性


LGBTをひとくくりにするのは、良くないとは思いますが、LGBTであることそのものが武器になって声優になれる可能性もあります。

芸能界ではおねえタレントというジャンルが確立されていますし、声優業界もその流れを取り入れていくことも今後あると考えます。
実際ゲイだとカミングアウトした三ツ矢雄二さんは、業界の中ではLGBTであることはかなり前から知られていたようで、
「女装好きの宇宙人役」とか「おかまっぽい役」は三ツ矢雄二さんに!とオーディションで役を勝ち取ったエピソードも話していますね。

【3】最終的には声優事務所が決定すること


結局のところLGBTであったとしても、声優事務所が「こう売り出そう!」というひっかかるものがあれば、声優として所属させることはありえます

カミングアウトしているのかどうかに関わらず、LGBTで声優になれるのかどうかは、最終的には声優事務所が決定することだということです。

【4】カミングアウトのタイミングは人それぞれ


声優の三ツ矢雄二さんは、自分自身の性自認についてはずっと「グレーゾーン」という言葉を使い、LGBTであることを濁してきました。

もしかしたら、LGBTであることをカミングアウトすることで、世間の自分に対する見られ方が変わり、声優の仕事に影響するかもしれないと心配してのことだったのかもしれません。きっとLGBTの方に対しての偏見の目、差別の目は、今よりもっと厳しい時代だったんだと思います。
カミングアウトするかどうかはタイミングも人ぞれぞれってことですね。

3)声優にLGBTであることは関係ない?


最後にLGBTであることが、声優になるまで、声優になっても関係ないのかを考えてみます。

【1】LGBTであることがお芝居に影響する可能性は高い


はっきり申し上げますと、LGBTであることは、お芝居にも影響する可能性は高いでしょう。LGBTということは一般的な性自認とは異なる性自認であり、少数派ということになりますね。

私はASDですが、ASDの女性が「女性らしくない」傾向があることも研究から分かっているそうです。たしかに私は、一般的な「女性」と比べると、いわゆる「男っぽい」部分も多くあります。お芝居にもそのことが影響しており、ずっと「女性らしい」演技は苦手だったのです。

一般的な女性の見た目で、性自認が男性だった場合でも、お芝居では女性の役になることを避けることはカミングアウトしていなければ難しいことです。

さらに例えば、生物学上「男性」の身体能力は「男性」ですから「男性らしい声」になりますね。具体的には女性に比べて「男性の低い声」ということになります。

その方がLGBTで性自認が「女性」であったとしても、女性役を演じるとなるとお芝居として成立しにくくなってしまいます。LGBTであることで、お芝居にその影響はあると考えるのが自然です。自分の人間性すべてが「相手に受け入れてもらえるか」がポイントなんですね。

【2】声優養成所や専門学校では苦労するかも


声優になりたい人は、今や毎年30万人もいます。
LGBTであることをカミングアウトして、自分の性自認に合わせて欲しいといったところで、他にもたくさん成り手はいるのですから不利になる可能性もあります。
そのため、声優養成所や専門学校でもLGBTであることをカミングアウトすることを避ける人が多いと思います。

特に古くからある声優養成所や専門学校は、女性は「女性らしくあること」、男性は「男性らしくあること」を求められることが多いように思います。私自身も「女性らしい」芝居がまったくできず「もっと女性らしく」と言われ続け、思い悩んでいたわけです。

LGBTであることで、見た目とは異なる内面と役との狭間で、声優養成所や専門学校では苦労する人は多いのではないでしょうか。

【3】声優としてはLGBTでも問題ない


しかし声優としては「お芝居」をすることが仕事です。
そして声優とは「役者」であり、性別を超えて「どんな役でも演じられる」のがプロとしての基本です。

たとえ男性でも女性としての演技をしなければいけない、あるいは女性でも男性としての演技をしなければいけないこともあるのが役者です。

LGBTでなかったとしても、自分の性別とは逆の役にならないとも言い切れません。
いまでは女性声優が男性の役を演じることも多くなってきました。

「その性別らしい」演技でなかったとしても「自分の武器」となるお芝居が見つかることで声優になることはできるのです。


世間的にも少しずつLGBTの方の理解は進もうとしています。
今後もまだまだ声優業界は変わっていくでしょうし、変わっていかなければなりません。

LGBTであったとしても、声優になることはできます。
私自身もASDであり「男性っぽい」女性として声優養成所ではかなり悩みました。
でも、声優の世界はクリエイティブな世界ですし、職人としての世界でもあります。

声優になるための技量があり、相手に受け入れてもらえるかが判定されるわけですから、
そのチャンスはどんな人にもあるのです!

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