今学生で声優養成所に通うお金がない、社会人で声優養成所に通う時間がない人だって声優になりたい人はたくさんいます。
しかし実際は、声優養成所から声優事務所に所属することになる人がほとんどです。
私は声優養成所では「演技の勉強をするところではない」と思っています。
え?じゃあ声優養成所って何で行くの?
独学でも声優になれるんじゃないの ?
と疑問に思う方もいるでしょう。
声優養成所に行かなければいけない理由と、独学で声優になることはできるのかご紹介していきます。
もくじ
声優には独学でなれるのか?
声優養成所に通うためにはある程度の時間とある程度のお金が必要です。声優養成所に通わずに声優になる方法、つまり独学で声優になる方法はあるのか解説していきます。
【1】地上波アニメには出られない
声優になりたい人は地上波アニメはよく見ますよね。最後に流れるクレジット(声優の名前やスタッフさんの名前が書いてあるエンディングのこと)を見てみると、ほとんどの声優がどこかしらの声優事務所に所属しています。
声優は、そのどこかしらの声優事務所に「所属しているから」地上波のアニメの仕事が回ってきます。声優は、自分が「声優」だということをわかってもらえる立場=声優事務所に所属している状態でないと、地上波アニメには出ることはほぼ不可能です。
地上波アニメを制作しようとした時、声優が必要になると「信頼のおける」声優事務所にオーディションのオファーを出したり、直接声優事務所のマネージャーに交渉に行ったりします。
そのため、地上波アニメの仕事は、 どこかしらの声優事務所に所属している声優にしかほぼ来ないということになります。地上波のアニメに出たいのであれば、どこかしらの声優事務所に所属している必要があるということです。
【2】フリー声優なら可能かも
声優という職業は自分が「声優です」と勝手に名乗ることだってできます。声優であることを証明する資格などはありません。極端に言うと、どこの声優事務所にも所属していなくても、「声優だ」と名乗れば誰だって声優になれるのです。
独学で声優の勉強をして、ネット上で声の仕事をもらえるのであれば「フリー声優」として活動することもできるのです。
しかし、実際に「 フリー声優」として仕事ができるのは、やはりクライアント側がその演技や声を求めているかどうかがポイントです。
私自身、ネット上で声優としての仕事をいただきますが、仕事の応募をする時に「ボイスサンプル」の提出を求められます。
ネット上の声優だとしても、クライアント側が欲しい人材でなければ、声優としての仕事をもらうことはできないのです。
その意味では、独学だけで声優になることも可能ではあります。しかし過去声優養成所に通った、または声優事務所に所属していたという実績があった方が、オファーされやすいのは事実です。
声優養成所に通った、声優事務所に所属していたということ自体が「信用」になっているということです。
声優として仕事をする上では、独学だけでは無理とまではいいませんが、信用の面で劣ることになります。
声優養成所は独学で入れる
声優として仕事をする上で、独学だけでは難しいことは分かりました。では声優養成所に入るために、独学で演技の勉強をする場合にはどうなのでしょうか。
【1】声優に必要なスキルは決まっている
声優に必要なスキルはある程度決まっています。漢字が読める事、読解力があること、感情を表現する力があることなどです。もちろん声優として仕事をする時に必要なコミュニケーション能力も必要です。
【2】独学でも声優養成所には入れる
声優養成所に入るためには、入所オーディションを突破しなければなりません。入所オーディションに合格しないかもしれないという不安から、入所オーディションがない声優専門学校を選ぶ人もいます。
しかし、声優になるためにはいくつものオーディションを勝ち抜いていかなければいけないので、オーディション受けるのが早いか遅いかの違いだけなのです。
きつい言い方をすると、入所オーディションぐらい突破できないのであれば、声優になるための基本スキルがないということでもあります。
独学でも、練習を重ね、アンテナを張ることができるのであれば声優養成所入所オーディションは突破できます。
【3】無料講座でも学べる
先程ご紹介した声優になるためのスキルは、無料講座だって学べます。滑舌の練習や台本の解釈の方法など、声優に必要なスキルはほとんど無料で学べます。
現在では声優になるための練習や知識などをサポートしてくれるサイトがたくさんあります。そのサイトで練習法を見て実践することでも、声優になるためのスキルはつけることができます。
無料講座であっても、声優養成所や声優声優専門学校で行われるレッスンと違いはほぼありません。違いがあるとすれば、やったことに対してのフィードバックがあるかどうかくらいです。
演じた声をボイスレコーダーで録って、客観的に評価できる人なら、 フリー声優ならば仕事もある程度とれると思います。
【4】スキルを学ぶだけなら声優養成所に行く必要はない
声優になるためのスキルを学ぶのであれば、無料講座だって、ワークショップだってどこだっていいのです。声優になるためのスキルをつけたいと思っている人は声優養成所に行く必要はありません。
声優になりたい人の多くが勘違いしているのは、声優になるためのスキルは「声優養成所でしか学べない」と思っていることです。
声優養成所は受験資格を得るところ
声優養成所は、極論を言うと声優になるためのスキルを学ぶ場所ではありません。
は?声優養成所は声優のスキルを学ぶところじゃないの?
そんな声が聞こえてきそうですね。独学でも声優になることはできますが、声優養成所は本当は以下のような場所なのです。
【1】声優養成所が欲しい人材を選ぶ
声優養成所に通うと、その先に運営している声優事務所がありますね。声優事務所としては、「稼げる声優」が欲しいのは当たり前です。
稼げる声優の卵が声優養成所に通えば、そのまま声優事務所に合格させればいいのです。声優養成所は、声優事務所が欲しい人材の「候補」を入所させているのです。
【2】育成をするつもりはない声優養成所もある
特に養成期間が短い声優養成所は、「稼げる声優の卵」を探しています。声優事務所から見て、その事務所に所属させられる可能性がある人を入所させるのです。
養成期間が長い声優養成所であっても、 1から10まで手取り足取り教えてくれるわけではありません。声優になるためのヒントを与えて、成長の度合いが高い人に期待が集まります。
声優養成所で積極的にアピールをした方がいいのは、目立つことで印象に残りやすくなるから。講師も声優事務所の所属声優であることが多いため、声優事務所に押し上げてくれる可能性があるからです。
もちろんあざとい取り入れ方をするなんてことは言語道断です。積極的にアピールするのは、レッスンで見せる「演技」ということです。
【3】最初から出来るならその方がいい
声優養成所は「養成所」と謳っていますが、育てるために募集をかけていないことも多いのです。つまり、演技その他、最初から出来る人がいれば、声優事務所としては即戦力になりますから、その方がいいということです。
独学で学び、ある程度の基礎力があれば、声優になれる可能性は高くなるということでもあります。
【4】演技は1、2年くらいじゃ上手くならない
声優の演技とは、人間を表現すること。台本に書かれた文字から、作者の意図や作品の言いたいことを読み取り、自分なりに表現していくことです。そのためには、普段から人間の持つ「感情」に人一倍目を向けることも重要です。
演技力は、声優養成所の養成期間である1、2年だけでいきなり上手くなるような、そんな甘いものではありません。だからこそ、声優養成所に入る前から独学で、人間観察や感情を研究し、どうやって表現をするのかを学んでおく方がいいのです。
【5】演技は独学で学ぼう
声優養成所に入って通いだしてから「声優になれるためのスゴイスキル」を学べるものではありません。声優になれるための練習方法やスキルをつけるための方法は、サイトを調べるだけでいくらでも見つかります。
声優になるということは、演技力がある程度あることは必須です。しかし、演技力だけでは声優になることができないのもまた事実です。声優事務所に所属するためには、それまでの積み重ね+「運」も必要なのです。
声優養成所という場所は演技を学ぶところではありません。声優事務所への受験資格を得るために行くところだと思った方が妥当です。声優になれる「スゴイスキル」を学べる場所ではないのです。
「演技を学ぶ」ことは、独学でずっと続いていきます。演技力をつけることは、声優になるための必要なスキルですが、声優になるには「運」の要素も必要です。それでもその運をつかむチャンスは、独学で演技の勉強を継続している人にめぐってくるのです。