声優は使い捨て?! 声優業界で声優が使い捨てだと言われる理由とは?
スポンサーリンク

中高生の中で将来なりたい職業が「声優」だと答える人が多くなったと聞きます。
今や小学生までもが「声優」に憧れる時代。

実際に私は声優として事務所に所属していましたが、小学生や中学生のうちから声優の勉強を始めるのは、良くないことだと思っています。

一生声優として仕事を持ち続けることが難しい職業だからです。

ネットでも声優は使い捨てなんじゃないか?と言う意見も見かけます。
新人声優がデビューしては消え、デビューしては消えを繰り返しているようなイメージもあります。

なぜ声優が使い捨てだと思われてしまっているのかを解説していきます。

1)声優が使い捨ては本当か


声優が使い捨てだと言われるようになったのは結構最近のことです。
本当に声優が使い捨てなのか?なぜ使い捨てになっていると言われているのかを探ってみました。

【1】使い捨てと言われるのは女性声優が多い


声優の中で使い捨てだと言われるのは、多くが女性声優のようです。
可愛いアイドル声優は「若さ」があってのものでもあります。

若くなくなってきた時に、女性声優がぶつかる壁は多くあります。
結婚や出産など人生のイベントでも女性声優が引退する機会は多く、そのことが使い捨てということにつながっているのです。

【2】ヒロインを演じても消える声優


アイドル声優と呼ばれる声優たちは、アニメの中ではヒロインを演じることが多いですね。

逆に女性声優の中でも、低い声を使って演じている声優やアニメではない吹き替えやナレーションなどで活躍する女性声優の方が息が長いように感じます。

ヒロインを演じることがもっとも良い役を演じていると錯覚するのですが、実はヒロインを演じている声優は、声があまりにも特徴的な人はなかなか器用されません。

ヒロインを演じるような「当たり前の声」の「当たり前の演技」だけだと声優の世界で生き残っていくことが難しいのです。

スポンサーリンク

2)声優の使い捨ての原因とは


女性声優だけに絞って説明しましたが、男性声優ももちろん息が短い人もいるでしょう。
声優の使い捨ての原因が何なのか、具体的に挙げてみます。

【1】声優のギャラシステムによるもの


声優が使い捨てたと言われる原因の一つは声優のギャラのシステムによるものです。
声優は自分の思うように仕事が取れない場合、声優としての出演が少なくなります。

ギャラが多く入らなければ、生活も立ち行かなくなります。そうなると自主的に声優を辞めることになり、一瞬アニメに出演できても、やめていかざるを得なくなるのです。

視聴者から見ると「その声優が使われなくなった」=「使い捨てだ」となるわけです。

【2】制作費の減少によるもの


TVの製作費が減少していることも声優が使い捨てたと言われる原因の一つです。
テレビを見る人が少なくなれば、出資しているスポンサーも離れていきます。

出資額も少なくなり、少ない制作費の中でやりくりするしかありません。それでもアニメの需要はありますから、「売れやすい声優」「視聴率が取れる声優」を選択するようになります。

結果として、旬は過ぎた、今後売れそうにない声優は起用されなくなり使い捨てだと言われてしまうのです。

【3】声優事務所のあり方


声優事務所がたくさんありすぎる、声優の副業のような声優事務所も原因の一つです。
基本的に声優は声の出演をしてギャラを貰います。

そのギャラの中から2、3割くらいのお金を手数料として声優事務所に支払います。
声優が声優事務所を開く、あるいは独立して声優事務所にするのは、手数料を支払わなくてもいいからという理由もあります。

【4】声優自身のあり方


声優自身が、他のことに興味を持ったり、結婚や出産など人生のイベントに全力を注いだりとなると引退する人もいます。

少し売れていた声優でも、そのままフェードアウトしていき、出演の回数は減ります。
また実力がなくて、若さだけで保っていた声優は、声優としての仕事がどんどん減ります。

出演回数が減れば、視聴者が声を耳にする機会も減るので、結果「使い捨て」と言われるようになるのです。

3)声優使い捨て原因1:声優のギャラシステム


声優が使い捨てだと言われる原因の一つ目は「声優のキャラシステム」によるものです。
詳しく見ていきましょう。

【1】声優のランクシステムとは


基本的には声優事務所に所属している声優は、新人の間「ジュニア所属」 と呼ばれます。

「ジュニア所属」はキャラは一律で決まっています。
一本あたりが15000円です。これは、アニメや吹き替え、ナレーションなど1つの作品に出て15000円です。

【2】声優ジュニア時代はお試し期間


声優のジュニア所属時代は「お試し期間」です。
一本15000円という安い価格で出演させることができるため、大勢の声優を呼ぶ必要があるような作品にはたくさん使われます。

声優業界としても、これから売り出せると目星をつけた声優を試しに出演させてみて、良い結果を残せるのであれば次の仕事がくるようなシステムです。

【3】ランクがつくと仕事が減る?


声優の2、3年のジュニア所属期間が終わると「ランカー声優」と呼ばれるようになります。ランカーになるとギャラが少しずつ増えていきます。

1本15000円だったのが、1本16000円、17000円・・・というようにあがります。
使う側としては、売れる見込みがない声優は、高いギャラを支払ってまで使うことはしません

そのため、売れる見込みがない声優が、ランカーになると仕事が激減することになります。
結果として、売れない声優として「使い捨て」だと思われることになるのです。

4)声優使い捨ての原因2:制作費の減少によるもの


制作費とは、作品1つを制作するときに使う費用のことです。
TVアニメよりも映画の方が制作費は高く、CMだと制作費も高い傾向があります。

【1】ネットの影響「TV離れ」


ネットが発達した影響で若い人はTVを見ることが減ってきています。
また、TVを見る世代であっても、仕事が忙しくてTVを見る時間もかなり減っているのが現状です。

子育てで子供に動画サービスでのアニメを見せることも多くあり、アニメ1つにかける制作費が大幅に減っています。

【2】視聴率低下でスポンサーが減る


TVを見る人が減る=視聴率も減るということです。
世の中でモノを作ったり、サービスを提供する企業が番組を作るための制作費を出します。

これらの企業が「スポンサー」と呼ばれます。
スポンサーがなぜ番組にお金を出すのかというと「広告」になるからです。

アニメなどの番組の途中には、CMが入りますね。
スポンサーはその番組に出資して、自分の会社のCMを流すことで、サービスや商品の販売促進につなげます。

ところが、視聴率が下がるということは、自分の会社のCMを見る人が減るので、出資したくなくなります。結果制作費が減るということになるのです。

【3】アニメ制作費の減少で声優が二極化


TVアニメの制作費が減るということは、声優を使うためのギャラが減るということでもあります。特に深夜アニメだと見る人が少ないので、制作費も少ないのです。

夕方から夜にかけての昔からつづくアニメや絶対に視聴率がとれるアニメには、ベテランの売れている声優を使います。

深夜のアニメには新人声優の中から「売れるだろう声優」が使われます。それでも、売れない場合には、仕事が来なくなり「使い捨て」が起こるという悪循環がおきます。

中堅どころの声優は「売れないかもしれない」という理由で使いづらいと思われて、使われなくなります。ベテラン声優と新人声優の二極化が起こるのです。

【4】お試ししか作れないアニメ


TV番組には「ワンクール」という言葉があります。TV番組を放送する契約期間の単位のことです。一般的にはワンクールは3ヵ月、13週です。

昔は制作費もそれなりにあり、多少視聴率が悪くても、半年くらいは継続して放送していました。しかし今は、ワンクールで試しに放送してみて、その結果で次のクールを制作する方法に変わっています。

スポンサーとしては、すぐに人気がでないTV番組は放送しても意味がないという考えになるのは当然です。

声優自身に問題がなくても、番組の視聴率がとれなければ、出演できなくなり、結果使い捨てのような状態になるというわけなのです。

5)声優使い捨ての原因3:声優事務所のあり方


声優が使い捨てになってしまう原因は声優事務所のあり方によるところもあります。
私が声優を目指した時代には、ゲームアプリの仕事は少なかったです。
声優の活躍の場は広がっている一方、稼げない声優が増えているのも事実です。

【1】声優事務所の乱立


稼げない声優が増えているのは、声優事務所がたくさんあることも原因の一つです。
基本的にTVアニメに出演できる声優は、大手声優事務所に所属している声優のことが多いです。

もちろん名が売れて、ベテランとなった声優は独立して自分の事務所をつくり、声優としての仕事を続けている人もたくさんいます。

先ほど中堅クラスの声優がなかなか出演できないという話もしました。中堅クラスの声優が声優として生活をしていくために、声優事務所を作り、稼ぐという方法もあります。

自分の声優事務所に所属している声優が何かしら出演し、ギャラをもらえばその何割かのお金を手に入れることができます。そのため、中堅クラス、ベテランの声優などがどんどん声優事務所を作り、声優事務所が乱立することになったのです。

【2】声優ビジネスで儲ける


他の記事でもご紹介しましたが声優ビジネスも声優が生き残っていく方法でもあります。
声優養成所をつくり、その声優事務所に所属する声優を講師として招き、次に売れる声優を育成することで、声優事務所が大きくなっていきます。

自分自身もその声優事務所の看板となることもできます。
声優同士のつながりで、売れている声優を招き、講師として働いてもらうことで声優養成所に入りたい人が増えますね。

しかし、声優事務所が多くなり、声優養成所が多くなると、何が起こるかわかりますか?
簡単に言えば声優の質の低下が起こります。

若さとかわいさだけが売れる要素になってしまい、肝心の声優としての演技力がないまま時間だけが過ぎてしまう・・・。

言い方は悪いですが、一時代前の声優に比べると、下手な声優が増えたと言われるのはそういった理由からだと思います。

【3】声優が一瞬だけ売れても儲ける


それなりに売れた声優は、自分の出演歴を増やす+自分の声優事務所に所属する声優に仕事をしてもらうことで、稼いでいくことができます。

その声優事務所に所属している声優が、たとえ一瞬だけ売れたとしても、ギャラの数割は入ってきます。売れなくなってしまった場合には、そのまま引退してしまうこともあります。

傍から見ると所属している声優を「使い捨て」しているようにも見えるのです。

6)声優使い捨ての原因4:声優自身のあり方


声優自身のあり方が、声優の使い捨ての原因になっていることもあります。
声優ではない人生を歩むのは個人の問題なので「使い捨て」になったとは思わない人ももちろんいるでしょう。

【1】声優としての実力がない


アニメの声優ではいわゆるアニメ声や萌え声の方がウケがよく、売り出される人もいます。
しかし新人声優のうちに売れるということは「若さ」も含めての実力であることもあります。若くて可愛いというのは、1つの売れる要素ではあります。

しかしその若さがなくなったときに、他に売り出せる要素がなければ、すぐに仕事がなくなってしまいます。

声優としての演技など、他の要素が「若さ」を穴埋めできるレベルでなければ「使い捨て」になってしまうのです。

【2】ジャンルを絞りすぎる


アニメ声優ばかりがTVへの露出が多く、目立つことはいうまでもありません。
でも声優の仕事はアニメだけではありません。

吹き替えやナレーションなど、他のジャンルでも活躍できる声優は、使い捨てになることは少ないのです。

声優になりたい人でナレーションは嫌いだという人もいます。
私も昔はその一人でした。

でも、実はナレーションの仕事が稼げる仕事でもあります。
ジャンルを絞らず、ナレーションもできる声優は使い捨てにはなりにくいでしょう。

【3】声優事務所とのつながりを避ける


私が声優事務所に所属していたときは、あまり事務所に顔を出さずが失敗だったと反省しています。

声優事務所には、仕事を管理してくれるマネージャーさんがいますね。
その声優がどんなことを考えているのか、どんな芝居ができるようになったのかなど細かくみてくれています。

マネージャーさんも人間ですし、良く知っている人間の方が自信をもって現場に送りたいと思うはずです。

もちろん声優事務所に入り浸れと言っているわけではありません。
極端に声優事務所とつながりを避けるようなことは、仕事が減ることにつながる可能性があります。
結果として使い捨てになる可能性があるのです。

【4】人生の岐路で引退


こればかりは、声優自身の人生の問題です。
結婚や出産などの人生の大きなイベントで声優を引退する人も多くいます。

結婚する相手が遠方にいて、引退する声優もいます。また、育児に専念したいと引退する声優もいます。

まだまだ日本はそういった人生のイベントでは「女性」が合わせることになることが多いですね。人生のイベント自体が悪いことではありませんが、結果的に声優としての人生を終えることにもなります。


若さとか人生のイベントとか、さまざまな理由から声優を引退する女性が多いのが現状です。そのため、出演が減った声優や辞めてしまった声優は、周りから見ると女性声優は「使い捨て」だと見られることが多くなります。

人生のイベントで他の道に進む声優は使い捨てではありません。
でも、事務所や業界の事情でやむなく使い捨てになっているのが声優の現状でもあります。

そんな厳しい業界です。それでも声優になりたいですか?

それでも声優になりたい人は、人生設計を綿密に立て、使い捨てにならない声優を目指すことを考えてみてください。

スポンサーリンク

Twitterでフォローしよう

こちらもどうぞ!