声優になるまでにはさまざまな費用がかかります。特に地方在住の声優志望者には百万単位での費用が必要になることも・・・。今回は声優になるまでに、福岡から上京してきた声優志望者の場合で、どのくらいの費用がかかるのか解説していきます。
当然東京に実家があり、上京する必要がない声優志望者は、上京費用は不要なので読み飛ばしてくださいね。またいくつも声優養成所に通うことになった場合には、その分の費用もかさみます。
- 女性22歳
- 大学卒業後に上京
- 福岡市に在住
- アニメ声優を目指している
- 声優養成所は勝田声優学院を選択
- 声優養成所のオーディションは12月
- 声優養成所の入所は4月
- 声優にかかる費用は自分のみで支払う
※勝田声優学院はすでに閉校しています。また私塾のため本来声優事務所が運営していませんでしたが、今回は声優事務所直営の養成所として考えます。
もくじ
声優養成所合格までの費用
まずは通う声優養成所に合格することが必要ですね。声優養成所に入所するためには大抵入所オーディションがあります。その費用は微々たるものですが、合格した場合の費用も考えて貯金することが重要です。
【1】入所オーディションの費用・・・0.5万円
声優養成所の入所オーディションは、ほとんどの場合タダではありません。おおよそ金額にして5000円ほどのオーディション費用がかかります。
【2】宣材写真の費用・・・ 1万円
入所オーディションを申し込むときに、写真を貼付するようになっていることが多いです。写真は、自宅のカメラで撮影しても構いませんが印象が良くなるのは、やはり宣材写真です。今住んでいるところが福岡の想定ですので、10000円程かかります。
東京への旅費・・・3.5万円
声優養成所の入所オーディションは、当然東京の声優養成所で行われるため、東京に最低1泊して入所オーディションを受けることになるでしょう。そのため東京までの旅費がかかります。ビジネスホテルに1泊することを考えて、宿泊費用5000円。飛行機での移動と電車の移動で、交通費が30000円くらいです。
声優志望者が上京して生活を始める費用
無事声優養成所から合格通知が来ました!やったー!
安心するのは早いです。合格通知が来たのが年明けの1月です。4月には上京して声優養成所に通うのですから、すぐに家探しを始めなければなりません。できるだけ早く家探しを始める必要がありますよ。
【1】家探しの費用・・・5万円
福岡から上京する場合、2泊3日くらいかけて家探しをすることをおすすめしたいところです。このときも宿泊費や飛行機代の他に都内を移動する手段は電車ですので、交通費も頭に入れておきましょう。
【2】家契約・火災保険の費用・・・23.5万円
家探しで素敵な家を見つけました。いよいよ東京の住まいの契約です。家賃は50000円の良い物件を見つけました。新宿まで1本で通える立地ですが、都心に出るまでに急行電車で30分はかかります。
東京では、敷金・礼金合わせて家賃の2か月分が必要です。さらに、仲介手数料10000円が必要です。家賃は翌月分を支払う形式です。家賃+敷金・礼金+仲介手数料で家の契約に4か月分の費用がかかります。また鍵のシリンダー交換で15000円ほど支払いが必要です。
さらに賃貸の場合ほとんどが火災保険の加入が義務づけられています。火災保険は2年で20000円くらいかかります。
【3】引っ越し費用・・・12万円
遠方の福岡だとかなりかかるのが引っ越し費用です。単身での引っ越しなので、荷物は少ないです。それでも、3月の引っ越しとなるとシーズンがシーズンなので、大手引っ越し業者だと特に高くなります。
家具類などを東京まで持っていく場合だと、大手引っ越し業者では20万円ほどかかってしまいます。早いうちに下調べして、小さい業者で引っ越しできるならばそのほうが安くなります。その場合の引っ越し費用は12万円ほどです。
荷物を少なくするならば、引っ越し費用は安くなることもあります。しかし引っ越しのトラックは4トントラックが多いです。単身荷物が1トン分に換算され、混載すると安くなります。ただし、処分する荷物が多い場合には、処分する費用がかかることがあります。
【4】生活用具の費用・・・2万円
福岡から東京に荷物を全部持ってきたとしても、足りないものは購入する必要もあります。例えば、部屋の照明器具。もともとついているところもありますが、ない場合には購入です。安いもので10000円くらいです。また、カーテンは東京の住まいの窓のサイズが違う場合には利用できません。そのため、購入が必要になるケースが多いでしょう。遮光カーテンだと10000円ほどです。
【5】転居の書類にかかる費用・・・0.5万円
引っ越しした場合に意外と忘れがちな手続きが書類です。住民票は大学生の場合は実家に置いている場合が多いですね。しかし、東京を拠点としてこれから生活するのならば、東京に住民票を移すほうが何かと便利です。元の住まいの住民票も必要になることもありますので、あらかじめ確認しましょう。費用は発行費用や郵送費で5000円はかからないくらいで収まります。
【6】最低1か月の生活費・・・20万円
東京に来て最初にしたいことは、バイト探しです。通常のバイト先は、1か月働いて給料をもらうシステムです。東京に住み始めて最初の1か月の生活費も必要です。最初は何かと物要りですので、20万円くらいあると安心です。
【7】交通費・・・3万円
東京に住み始めて驚くのが交通費かもしれません。ほとんどの場合、電車での移動です。バイト先や声優養成所までの駅に行くまでにお金がかかります。バイト先で交通費が出ることは多いですが、交通費の支払いは給料日に合わせてもらうのが普通です。都心までの1日の交通費が1000円くらいと考えて1か月あたり3万円です。
東京で一人暮らしをしながら声優養成所に通うのは、かなりの費用がかかりますね。もちろん、福岡よりも近い都道府県から上京する場合には、今回の費用は安くなります。ここまでの合計が71万円です。
東京で一人暮らしをしながら声優養成所に通うのは、かなりの費用がかかりますね。もちろん、福岡よりも近い都道府県から上京する場合には、今回の費用は安くなります。ここまでの合計が71万円です。
次に声優養成所2年間にかかる費用を計算していきます。最初の想定のシチュエーションで考えていきますよ~。
声優養成所にかかる費用 ~1年目~
声優養成所が2年間の養成期間だとして、入所した1年目と進級した2年目では、学費が異なることがあります。ほとんどの声優養成所が、2年目に入ると合計の金額が安くなります。
声優養成所に、入所オーディションで合格した場合、実際に通い始めるよりも前に、声優養成所の費用を支払います。分割で支払えるシステムを持っている声優養成所もありますので、あらかじめ確認した上で声優養成所のオーディションを受けるようにしましょう。
【1】入所金・・・10万円
声優養成所に通うために必要な費用として「入所金」があります。入所金の金額は様々です。ここでは入所金10万円とします。
【2】授業料・・・25万円
声優養成所のレッスンを受けるために、授業料は必要です。週に1日行くか、週に2、3日行くかなど、声優養成所によって一年間にかかる授業料は変わってきます。想定している、勝田声優学院では週に1回のクラスに通うので、授業料が25万円かかりました。
【3】教材費・施設費・・・3万円
声優養成所では入所金、授業料とは別に、教材費を支払う場合もあります。 声優養成所によってはスタジオを養成所内や事務所に設置している場合もあります。その維持費として教材費、もしくは施設費として支払うお金もあります。今回は声優養成所で使うスタジオ実習費、教材費として3万円とします。
【4】アクセント辞典などの購入費用・・・2万円
声優養成所の中で支払う教材費もありますが私物として購入する教材もあります。例えばアクセント辞典やボールペン、ボイスレコーダーなどが必要になることがあります。声優養成所で支払う教材費と別に2万円とします。
【5】その他合宿などの費用・・・5万円
声優養成所によっては、施設を借りて演技の強化合宿などを行う場合もあります。他県に行って合宿する場合には、バスのチャーターをすることもあります。合宿費として5万円必要だとします。
声優養成所にかかる費用 ~2年目~
声優養成所の養成期間が短ければ短いほど、学費が安くなる傾向にあります。また週のレッスン日が多ければ多いほど当然ながら、声優養成所にかかる費用は高くなります。
【1】授業料・・・25万円
2年目になって、声優養成所のレッスン日が週に2回になることもあります。ここでは1年目と同様に週に1回のレッスンを想定し、授業料は25万円とします。
【2】教材費・施設費・・・2万円
2年目は、1年目に比べ教材費も少しだけ安くなることが多いです。1年目に購入したものをそのまま継続して使う場合もあるからです。そのため、教材費・施設費を2万円と想定します。
【3】発表会などの費用・・・3万円
声優養成所の卒業が近くなると、舞台を卒業制作として発表する場合が多くあります。声優としての舞台経験を積ませるためでもあります。当然のことながら、他の共演者との稽古も必要です。
近くの会議室などを借りて、舞台の稽古をレッスンのない日に行うことも多いのです。会議室などを借りる稽古は、不参加のまま本番に望むことは考えにくいです。みんなで話し合ってお金を出し合い会議室を借ります。週に1回のレッスンで講師に指導をしてもらうことを想定すると、最低でも週に一度はレッスン日以外に集まって稽古をすることになるでしょう。会議室を借りる費用、食費などを含めて、稽古期間中合計で3万円くらいはかかります。
声優事務所預かりになってからの費用
声優養成所の発表を終えて、声優事務所の預かりになることができました。ストレートで預かりになれるのは、努力の賜物です。しかしまだ安心はできません。
声優事務所の中で「預かり」という立場は、崖っぷちの意味でもあります。気を抜かずに声優事務所に正式所属できるよう、更なる努力が必要です。
【1】声優事務所の公式サイト用宣材写真の費用・・・3万円
声優事務所預かりになると、事務所にもよりますが公式サイトに掲載される場合があります。その場合には公式サイト掲載用の宣材写真が必要になります。宣材写真については、声優養成所の入所オーディションで使ったものをそのまま使うのはおすすめできません。
自分の声優事務所での立ち位置をしっかり確保するためにも、新しい宣材写真を用意しましょう。東京で声優の宣材写真を撮影してくれるフォトスタジオに依頼することにします。必要経費は衣装代、メイクやヘアセットも合わせて3万円とします。
【1】声優事務所のレッスン費用・・・18万円
声優事務所の正所属になるには、声優事務所のレッスンに参加するケースもあります。月2隔週で行われているレッスンの場合もありますが、声優養成所と同様に週に1回行っている場合もあります。レッスン費用の支払いは、参加するしないで変わることが多いですが、毎回参加すると想定し、月に1.5万円とします。12か月で18万円です。
【2】オーディションなどの交通費など・・・2万円
声優養成所の預かりの場合でも実際に仕事がもらえたり、仕事を獲得するためのオーディションを受ける場合もあります。オーディション会場が遠い場合もあります。毎月決まってオーディションを受けるわけではありませんが、年間を通して2万円ほどを想定しておきます。
声優になりたい人はかなりの費用がかかることがお分かり頂けたと思います。声優養成所の費用ばかりではなく、声優になってからもお金は必要なものなのです。昼間のアルバイトでは時給がどうしても低い設定ですので、時給が高い夜勤の仕事を選んでいる人もいます。
合計金額を見て驚いた声優志望者もいるのではないでしょうか。声優養成所の預かりになれなかった場合には、声優養成所に入り直すケースも考えられます。その場合、上京費用以外の声優養成所にかかる費用がかかるわけです。
声優養成所に通っている間にも生活費は必要です。お次は1か月の日々の生活にかかる費用を計算していきます。
日々の生活にかかる費用 ~1か月~
声優養成所に通っていても、日々の生活にかかる費用は必要です。 最初にご紹介した声優になりたい人が上京してから、1か月間だいたいどのくらい費用がかかるのか計算していきます。
【1】家賃・・・ 5万円
東京に一人暮らしをする場合では、当然ながら自分で家賃を支払う必要があります。家賃を滞納してしまうと、契約違反となり最悪の場合、賃貸契約を打ち切られる場合があるので注意が必要です。家賃の支払いは銀行振込の場合が多いので、インターネットバンキングを利用できるようにしておくと便利です。
【2】交通費・・・1.5万円
声優養成所に通う、バイト先に行くなど、東京では電車での移動がほとんどです。地方に住んでいる時にはあまり意識したことのない「交通費」が意外とかかるものです。 今回のケースでは声優養成所がある最寄り駅が高田馬場、バイト先は新宿とします。
1ヶ月の定期代が1.5万円くらいです。バイト先から交通費が支給される場合はその費用はまるまる浮きますね。今回のケースでは運悪くバイト先の交通費が支給されないということで交通費を設定しておきます。
【3】食費・・・3万円
一人暮らしで節約生活をするとなると削りやすいのが食費です。なるべく自炊をして、栄養バランスも良く食事をするようにしたほうがいいです。というのは、風邪を引いたり喉を壊したりする=声優として使い物にならないことを意味するからです。節約はほどほどにして栄養バランスを考えた食事を摂るようにします。
【4】通信費 ・・・1.5万円
このご時世ですからインターネットが使えないというのはかなり不便なものです。仕事の依頼も声優事務所から電話がかかってくることも多くあります。できれば安いパソコンでもいいので DVDやブルーレイディスクが見れる物を購入した方がいいです。
声優としての仕事が来た時にVTRを何かしらの形で受け取ります。 DVDやブルーレイディスクでもらうこともあれば、データで送信押される可能性もあります。
スマホの利用に月々8000円、インターネット利用に7000円を設定します。
【5】交際費・・・1万円
声優養成所のレッスンが終わった後など同期と交流をすることもあるでしょう。週1回のレッスンで毎週参加するのは難しいかもしれませんが、講師が参加する場合には、ぜひ参加しておくことをおすすめします。
【6】日用品費・・・0.5万円
実家で生活している時にはあまり意識していなかった日用品の費用も結構かかるものです。洗濯洗剤や食器用洗剤なども自分で買い揃えなければなりません。忘れがちなのがトイレットペーパー。実家だとお母さんが気付いて買ってくれていたのではありませんか?一人暮らしになると日用品も全て自分で購入するのです。
【7】美容費・・・0.5万円
美容費は主に女性が必要なものだと思いますが、場合によっては男性でも必要な人はいます。美容費に関しては、どれぐらい費用がかかるのかが人によって違います。メイクにこだわる人は多めにかかる可能性もあります。敏感肌などで特定の化粧品でないと駄目だという人はさらにかかる可能性もあります。
【8】洋服や靴などの費用・・・1万円
普段着る服をあまり気にしないという人はプチプラファッションでいいのかもしれません。でもここぞという時に着る服がないなんてことにならないように、よそ行きの服を一着は持っておきましょう。
【9】娯楽費・・・1万円
自宅でゲームをする人もいるかもしれません。声優になりたい人はアニメを見るために、サブスクの契約をしたい人もいるでしょう。漫画を買いたい人もいるかもしれません。声優になるためには娯楽を知っておくことも大切なことです。
ここでご紹介した日々の生活にかかる費用は人によっては金額が低い人もいると思います。食費を削って節約をするのも必要なことです。声優養成所の費用を自分で負担する場合には、次の年の支払いのことも頭に入れておきましょう。
声優になることは関係なく支払う費用
声優になるのかならないのかは関係なく支払う費用があります。これは私も上京して実感したことですが、実家にいると保護者が支払ってくれていた費用がかなりあることに気づきます。
【1】年金・・・2万円
年齢が20歳を超えているのであれば、年金を支払う義務があります。よく声優になりたい人の中で年金を未納にしている人がいます。が、これは結構危険です。
年金は、年をとってから月々の年金支給があるように支払うものだと思っている人が多いです。しかし万が一事故にあったりして、障害を保つことになってしまった場合、年金を支払っていないと障害年金がもらえなくなってしまうののです。人間いつ何があるのか分かりません。
声優になる勉強をしている間にも、年金をどのように支払っていくのか計画を立てておきましょう。 現在の国民年金の支払額は月々1万6,340円ですが、計算がややこしくなってしまうので2万円としています。
【2】住民税・・・0.5万円
未成年の時には住民税の存在すら知りませんでした。家賃を支払っているのに、その土地に住むだけで税金がかかるとは・・・。
声優になりたい人のバイト先によって時給も変わります。バイト先によっては給料から天引きで住民税を支払う場合もあります。今回のケースでは、バイト先からもらえる給料を月々18万円で計算しました。
18万円×12か月→216万円(年収)
216万円の年収の場合、住民税は7万円ほどです。細かい計算は下記のサイトで確認してください。この7万円を1か月で計算すると、5833円となります。ここではキリのいい数字で計算するため、5000円にします。
パートの住民税を計算するには?シミュレーション例と支払い方法を解説
【3】賃貸更新費・・・0.5万円
賃貸を契約していると多くの場合、 契約期間満了の半年くらい前に契約を継続するかどうかの確認が入ります。継続の意思を伝えればいいのですが、それに伴い契約更新費を支払うことがあります。 賃貸契約では、2年ごとの更新が一般的です。更新費用は家賃の1か月分~2か月分です。
今回のケースでは賃貸更新費用を家賃の1か月分と想定し、月々で割って計算します。
【4】確定申告時の追加徴税・・・0
声優になる勉強をしている間、つまり声優養成所に通っている間はほとんどの場合がバイトでえられる給料だけです。しかし声優として仕事をもらうようになると、バイト先の給与とは別に収入があることになります。
ほとんどの声優が自営業として活動することになるため、確定申告を行う必要があります。バイト先で年末調整と言う納税の計算をやってくれることが多いですが、年末調整がない場合にも確定申告を行う必要があります。
その場合に、 確定申告で追加徴税を行う必要があることもあります。追加徴税とは簡単に言うと「計算したら、納めるべき税金が足りなかったから追加で税金を納めてください」というものです。
上京したてで、声優の勉強をしている人にはあまりご縁がないかもしれません。でも声優として仕事をし始めると確定申告のことも勉強しなくてはいけないのです。想定のケースでは声優の勉強を始めて声優事務所に入るまでの計算をしています。そのため金額はゼロにしてあります。
声優になりたいという夢を持つ事はとても素敵なことです。でも声優になるために日々生活する、声優になるための勉強をするにはお金は必要不可欠なものです。保護者の金銭的サポートがあることはとてもありがたいものです。
声優になりたいと思ったら、これだけのお金が必要だということ忘れないでください。最終的に声優養成所の預かりになるまでの全ての費用を2年間で合計しました。参考になれば幸いです。